親心はわからなくないが、大学生といえば立派な大人である。自分の朝食くらい自分で何とかしろといいたくもなるが、最近はそういう考え方こそ常識はずれらしい。なぜなら大学が朝ごはんを用意することは、全国的な“ブーム”になっているからだ。
有名大学も例外ではない。期間限定ではあるものの、早稲田大学や慶応義塾大学、明治大学といった有名私大でも実施されている。
「学生健保ではケガをしたり病気になったりした学生に組合費が還元されることが多く、健康な学生にも還元する目的で始めました。原価約350円の朝食を、健保が約250円負担して100円で提供しています」(明治大学学生支援事務室)
「1円朝食」や「無料朝食」を出す大学もある。
高知大学の場合、学食の年間利用定期券(月額1万1000円~、2014年度実績)の利用者を対象に朝食料金から250円を割り引く。ほとんどの朝食メニューは251円なので、実質的には1円で食べられる仕組みだ。
栃木県にある白鴎大学は、毎年4月の授業開始からゴールデンウィーク前まで朝食を無料で提供している(それ以降は1食100円)。ご飯やみそ汁に、チキンソテーや春巻きなどの主菜がついて無料とあって、連日大盛況だという。
「学校の負担も大きいですが、低学年のうちから規則正しい生活習慣を身に付けることが大事です。朝食の提供を始める前は遅刻などで授業運営にも支障をきたしていたのですが、大学での朝食を通して1限目の授業に出席できるようになったという学生は少なくありません」(同大事務局)
今や大学は学生に登校してもらうために朝食まで用意するのが当たり前になってしまったということか。
※週刊ポスト2015年5月29日号