両船舶の乗組員は、米軍の働き掛けもあり事件から約2週間後に釈放されたが、抑留が数か月から数年の長期に及ぶケースも少なくなかった。

 1952年9月に韓国巡視艇の砲撃を受け、拿捕された第28海鳳丸船長の久保田伴良氏は、2か月半に及んだ凄惨な抑留生活を国会で次のように証言している。

「収容中の状況は非常に苦しかった。留置場は1部屋4畳半くらい。多いときは1部屋10人もおり、部屋は超満員になって寝ることもできませんでした。食事は丸麦1合くらいを1日2食、おかずは大根の葉っぱの塩漬を毎日毎日、73日間も食わせられた。栄養失調になり20日間くらい入院した者もいました」

 久保田氏ら船員4名はその後、漁業法違反などの罪で韓国側に起訴されたが、取り調べや裁判は一方的、かつ形式的なものに過ぎなかった。

「調書の内容が自分の答えた通りではないので署名を拒否すると、刑事は腰の銃に手を当てて『署名しろ』と言う。刑事らは一方的に調書を作り上げ、『豚箱に放り込む』と言って船員を脅迫していたのであります」(久保田氏証言)

罰金刑を言い渡された久保田氏らは「上訴しても一方的に処理されるので意味がない」と判断し、判決を受け入れ解放された。このようにして、韓国は日本漁船を片っ端から拿捕し、船員の身柄を拘束。漁業法違反や出入国管理法違反などを理由に船員を裁き、刑務所送りにしたのである。

※SAPIO2015年7月号

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