では、ご当地レトルトカレーで最も成功しているのはどこか。井上氏は横須賀(神奈川)の『よこすか海軍カレー』を例に挙げる。
「横須賀市や商工会議所などが『カレーの街』として全国への情報発信を地道に行ってきたおかげで、ブランドの知名度は断トツ。レトルトはお土産としても喜ばれています。
また、横須賀に来れば海軍カレーがその場で味わえるレストランが多数あり、統一したレシピで味にブレもありません。そうした総合的な戦略が奏功したのだと思います」
その他、北海道・札幌のスープカレー、愛知県の松坂牛を使ったカレー、「横須賀カレーフェスティバル2015」でグランプリに輝いた長野県大鹿村のジビエ(鹿肉)カレーなどの評価が高いというが、いずれも「大多数の人が美味しいと思うクオリティーを追求した結果」(井上氏)だ。
小売店では『銀座カリー』(明治)や『カリー屋カレー』(ハウス食品)、『ボンカレー』(大塚食品)などナショナルメーカーの低価格ブランド人気も引き続き高い。レトルトカレーの生き残りをかけた過当競争は、今後も続いていきそうだ。