スポーツ

高校野球名将・木内幸男氏 「木内マジックなんてなかった」

 茨城県の取手二と常総学院を率いて春夏3度の優勝に導き、歴代6位となる甲子園通算40勝の記録を持つ木内幸男氏。その巧みな選手起用は『木内マジック』と呼ばれた。2011年に監督業を引退した木内氏が、マジックと呼ばれた監督時代の手法を振り返った。

 * * *
『木内マジック』とか呼ばれていますが、あれはマジックでもなんでもない。単なる監督の観察力です。子供の長所と短所を見つけ、それをうまく野球に利用しただけ。そのために子供たちの「査定表」を作り、野球の成績だけでなく性格や勝負強さまで書き込んでありました。

 それを見て選手を起用したら打つ手が次々と当たった。子供たちには「当たる確率が高いほどお前たちを信頼している証拠」と説明してありましたが、当たって当然。監督がチームを掌握していた結果だと思っています。そのためにずっとグラウンドにいたわけですからね。それで親戚の結婚式にも欠席するなど、家族には思い切り迷惑をかけましたが(笑い)。

 サインを出すにしても、「あの子はバントがうまい」「この子はプレッシャーに強い」と全部覚えていて、その子たちを成功率の高い場面で使うのだからうまくいくに決まっています。新聞は“よく決めた”と書きますが、私に言わせれば“この子だから決めた”なんです。マジックでもなんでもなく、できる子にできることをやらせただけです。

 グラウンドで野球をするのは子供たち。試合が始まれば選手に任せるしかありませんが、監督が理屈のない任せ方をするのはよくないと思っています。だから私の作戦にはすべて理屈があり、それをベンチで選手にもちゃんと伝えてありました。私はベンチでは監督と解説者を兼務しており、試合中はしゃべりっぱなしでしたね(笑い)。

●木内幸男(きうち・ゆきお):1931年、茨城県生まれ。取手二、常総学院の監督を歴任し、春7回(うち優勝1回、準優勝1回)、夏15回(うち優勝2回、準優勝1回)、甲子園に導く。

※週刊ポスト2015年8月14日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

足を止め、取材に答える大野
【活動休止後初!独占告白】大野智、「嵐」再始動に「必ず5人で集まって話をします」、自動車教習所通いには「免許はあともう少しかな」
女性セブン
今年1月から番組に復帰した神田正輝(事務所SNS より)
「本人が絶対話さない病状」激やせ復帰の神田正輝、『旅サラダ』番組存続の今後とスタッフが驚愕した“神田の変化”
NEWSポストセブン
大谷翔平選手(時事通信フォト)と妻・真美子さん(富士通レッドウェーブ公式ブログより)
《水原一平ショック》大谷翔平は「真美子なら安心してボケられる」妻の同級生が明かした「女神様キャラ」な一面
NEWSポストセブン
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン
《那須町男女遺体遺棄事件》剛腕経営者だった被害者は近隣店舗と頻繁にトラブル 上野界隈では中国マフィアの影響も
《那須町男女遺体遺棄事件》剛腕経営者だった被害者は近隣店舗と頻繁にトラブル 上野界隈では中国マフィアの影響も
女性セブン
山下智久と赤西仁。赤西は昨年末、離婚も公表した
山下智久が赤西仁らに続いてCM出演へ 元ジャニーズの連続起用に「一括りにされているみたい」とモヤモヤ、過去には“絶交”事件も 
女性セブン
日本、メジャーで活躍した松井秀喜氏(時事通信フォト)
【水原一平騒動も対照的】松井秀喜と全く違う「大谷翔平の生き方」結婚相手・真美子さんの公開や「通訳」をめぐる大きな違い
NEWSポストセブン
海外向けビジネスでは契約書とにらめっこの日々だという
フジ元アナ・秋元優里氏、竹林騒動から6年を経て再婚 現在はビジネス推進局で海外担当、お相手は総合商社の幹部クラス
女性セブン
大谷翔平の伝記絵本から水谷一平氏が消えた(写真/Aflo)
《大谷翔平の伝記絵本》水原一平容疑者の姿が消失、出版社は「協議のうえ修正」 大谷はトラブル再発防止のため“側近再編”を検討中
女性セブン
被害者の宝島龍太郎さん。上野で飲食店などを経営していた
《那須・2遺体》被害者は中国人オーナーが爆増した上野の繁華街で有名人「監禁や暴力は日常」「悪口がトラブルのもと」トラブル相次ぐ上野エリアの今
NEWSポストセブン
交際中のテレ朝斎藤アナとラグビー日本代表姫野選手
《名古屋お泊りデート写真》テレ朝・斎藤ちはるアナが乗り込んだラグビー姫野和樹の愛車助手席「無防備なジャージ姿のお忍び愛」
NEWSポストセブン
運送会社社長の大川さんを殺害した内田洋輔被告
【埼玉・会社社長メッタ刺し事件】「骨折していたのに何度も…」被害者の親友が語った29歳容疑者の事件後の“不可解な動き”
NEWSポストセブン