派手に見えるプレーでも、ただ目立とうとしてやっているわけじゃない。本当は非常に合理的な技術なんです。
あれから50年ほどたって、最近はようやくこうした“サーカスプレー”も文句をいわれなくなり、再び脚光を浴びるようになりました。メジャー中継が観られるようになったことも大きいと思います。
指導者が合理的なプレーを認め、グラブハンドパスでもいいよ、バックハンドトスでもいいよ、と自由に練習させるようになってきているということでしょう。でも、プロにとって大事な“魅せるプレー”では、日本はまだまだ遅れていると思います。
打撃ももちろん大事だが、プロたるもの守備でも観客を沸かせないといけません。今は捕手のサインを内野手に教えない球団も多く、球種やコースによって内野の守備位置を変えるのが難しいとも聞かされます。捕手のサインが分かれば、スタートがそれだけ早く切れて、プロらしい守備が見せられるんですけどね。
ミスのない堅実なプレーも大切でしょうが、魅せる野球をできる選手が少ないのは寂しい限りです。
●かまだ・みのる/1939年、兵庫県生まれ。阪神時代は吉田義男と鉄壁の二遊間を組み華麗な守備で活躍、日本で初めて「バックトス」を導入した人物として知られる。引退後は阪神、近鉄でコーチを務める。
※週刊ポスト2015年8月21・28日号