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香港観光業の売上悪化 中国人の爆買いをイナゴ扱いも原因か

 今年に入って、香港の観光業の業績が低迷している。7月のホテルの平均入室率や宿泊代金が前年同期比で半分以下に急減するなど、2009年以来の落ち込みを記録した。これについて、党機関紙「人民日報」は今年初めからの香港での「中国人爆買い客」に対する批判運動が大きな原因と指摘した。

 同紙が香港の対応を真っ正面から批判する記事を報道するには極めて異例だが、中央政府も中国市民の行動を一方的に誹謗中傷するような香港側の対応には内心、憤っていることをうかがわせている。

 香港立法会(議会に相当)によると、今年上半期全体で、香港のホテルの平均入室率は前年同期比4%減、宿泊代金は同8.7%減で、香港全体の小売り総額も同1.6%減となった。これらの指数が前年日を下回ったのは2009年第3四半期以来で、今年7月の1か月だけでは、上記の3指数はそれぞれ50%以上もの急減となった。また、香港の繁華街でのレストランの営業益も今年上半期では前年比で10~20%減だという。

 香港紙「星島日報」によると、今年1月には中国大陸から1万1000グループの団体客が香港を訪問。これは前年同期比32%増だったが、2月から香港で爆買い中国人を「イナゴ」と呼ぶなど、中国人ツアー客の批判運動の開始以降、中国人客が半減し、今年7月だけで同40%減と落ち込んでいる。

 香港の小売総額も今年3月から6月まで4カ月連続で減少しており、上半期全体では同1.6%減だが、宝飾品やブランド製品など高額商品は同4割減と大幅な減少を記録している。

 香港で昨年来、中国人観光客が粉ミルクなどの生活必需品を買い占めていることに強い批判が起こったことや、中国政府の香港統治強化に反発した市民らによる反中運動が拡大。中国政府は中国人観光客の香港入境を制限する措置をとっており、中国人客の減少が香港の観光業の業績低迷につながっているようだ。

 香港の最高指導者、梁振英・行政長官は「香港は観光都市であり、観光業は重要な産業になっており、香港の域内総生産(GDP)の4.7%を占めている。もし、今後も観光業の業績が落ち込むようならば、大量の失業者が出て、香港経済に深刻な影響を与えかねない」と指摘し、強い危機感を表明している。

 これについて、ネット上では「最初に『中国大陸の観光客は帰れ。もう香港に来るな』と言ったのは香港市民だ。香港経済の悪化を中国人のせいにするのは本末転倒、自業自得だ」との書き込みがみられる。

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