たとえば8月中旬時点での日本株全体(TOPIX=東証株価指数)のROE(株主資本利益率)は8.6%、PBR(株価純資産倍率)は1.4倍台であるのに対し、米国株(S&P500)はROE15.2%でPBR2.8倍、ドイツ株(DAX)はROE10.9%でPBR1.8倍となっている。確かに日本企業のROEの水準は欧米に比べて低いが、着々と改善が進み、今期は初の10%台に到達する見通しだ。そう考えていくと、日本株は非常に割安な水準であり、見直しの機運が高まってもおかしくない。
米国と単純比較すると、日本のROEは米国の0.57倍なので、米国のPBR(2.8倍)の0.57倍まで買われるとすれば日本株はPBR1.6倍程度まであっても不思議ではなく、その分の上昇余地はある。これを日経平均に置き換えれば、年内に2万3000円、来年前半には2万6000円まで上昇する可能性は十分に考えられる。
国内で資金が溢れるなか、過小評価の見直しから海外資金も流入してくるようであれば、バブル化するのは必至といえる。そうであるならば、どんな銘柄に目を向ければいいのか。
これまでは大型優良株中心の物色が続いてきたが、需給面ではGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)をはじめとする「クジラの爆買い」も勢いを失いつつある。GPIFはポートフォリオの見直しを進め、国内株式の割合を25%まで高めようとしてきたが、すでに今年3月末時点で22%まで買い進めており、この先、クジラの大型株買いは大きく期待できない。
そうなると、ここからはやはり経営内容などファンダメンタルズの良好な成長小型株が台頭してくるに違いない。いよいよ出遅れている新興株の出番といえそうだ。
※マネーポスト2015年秋号