インフルエンザといえば冬に流行するものだが、秋になった頃から対策をしておくことが重要。しかし、そもそも我々はインフルエンザに関する正しい知識を持っているのだろうか? そこで、今さら聞けないインフルエンザに関する疑問に、東京医科大学 小児科学 主任教授の河島尚志さんがお答えします。
【インフルエンザではどんな症状が出るの?】
突然39℃を超える熱が出て、のどや鼻の炎症や、全身がだるくなるなどの症状が出るのが特徴です。流行期は11~3月で、通常は1週間ほどで回復します。
【A型、B型とは何ですか?】
インフルエンザの原因であるウイルスはA型とB型に分けられます。一般に、A型の方が強い症状を引き起こすことが多く、B型は胃腸症状を起こしやすいといわれます。
【なぜ毎年予防接種をするの?】
A型・B型にはそれぞれにさまざまな株があります。日本は南半球での流行状況を参考に、今シーズンはそのうちのどの株が流行するかを予測し、ワクチンを作ります。ワクチンの中身は流行する株によってシーズンごとに変わるため、毎年打つ必要があるのです。
【予防接種の効果はどれくらい続く?】
10月頃に打てば、効果は3月頃まで続くので1シーズン1回で間に合います。
【予測が外れることもありますか?】
予測が当たる率は70~80%といわれます。ただし、もし予測したものと、実際に流行したインフルエンザの型が合わなくても、50%以上の確率で発症を抑えることができますし、型が似ていればもっと高い確率で予防できます。
【今年使われる「4価ワクチン」とは何ですか?】
4価ワクチンとは、4種類のインフルエンザ株が入ったワクチンという意味。例年はA型インフルエンザを2株、B型1株を入れていましたが、今年は流行予測に基づいてB型の株も入れることになったので、合計4種類の株が入ります。
【子供はなぜ予防接種を2回受けるの?】
これまでインフルエンザにかかったことがない人は、ワクチンを打っても抗体(異物を体から排除する働きをもつ分子)ができにくいのです。また、1回に打つ量も少ないので、充分な抗体を作るため、2回接種することになっています。日本では、生後6か月から打てるワクチンと、生後1年から打てるワクチンの2種類があります。
【ワクチンの副作用が心配です】
ワクチンの副作用には、接種した部分の腫れや赤み、痛みなどがあります。また、発熱やだるさ、頭痛などが起こる場合もありますが、通常は2~3日で治まります。
かつてのワクチンには、ウイルスを不活化したものが丸ごと入っていたため、このような副作用が起こることが比較的よくありました。ただし今は、ウイルスの一部が精製されワクチンに入っているため、こうした副作用は少なくなっています。ワクチンに対する反応はすぐに起こることが多いので、予防接種を受けた後は30分ほど安静にし、様子を見てください。
※女性セブン2015年10月1日号