「私が義勇兵として戦う理由は、悪魔(IS)がこの地に建国するのを阻止する為です。イラク政府軍は逃げてしまい、毎日のように罪のない人々が殺されています」
ピンキーが義勇兵の存在を知ったのはペシュメルガのフェイスブックだった。
「義勇兵になるには軍隊経験は必須です。特に戦闘経験があれば仲間に信頼されます。我々、義勇兵はボランティアなので給料はもらっていません。金は問題ではありません」
ISでさえ兵士に給料を払っているというのに、外国人義勇兵はクルド自治政府からは一切、給料をもらっていない。米や豆中心の食事と弾薬だけは支給されるという。腹は満たせるが体重が日々、減っていると嘆いていた。
この日の夜、アメリカ人義勇兵の宿舎でパーティーが行われ、私も招待された。ビールを手にしたほろ酔いのピンキーに本音を聞いてみた。
「私がここに来た本当の理由はイラク派兵時に殺された友人の復讐の為です。可能な限りIS兵士を殺したい」
ピンキーは2度のイラク派兵から無事に生還したものの、かつての生活には戻ることが出来ず、アメリカは彼にとっての故郷ではなくなったという。“生きる目的”を探してイラクの戦場に戻ってきたのだ。
撮影■横田徹
※SAPIO2015年11月号