国際情報

無給義勇兵となった28歳米国人「可能な限りIS兵士殺したい」

米陸軍の精鋭だったピンキー

 悲劇の連鎖は終わっていない──ジャーナリストの後藤健二さんらが「イスラム国」(IS)に殺害されてから半年以上が過ぎ、一部の報道ではISが支配地域を失い弱体化しつつあるように言われ始めた。しかし、実際にはまだまだ勢力を保っており、その最前線ではISに抗する者たちの凄絶な戦いが続いている。イラク北部のクルド自治区でISと戦う兵士たちの実像を、報道カメラマンの横田徹氏がレポートした。

 * * *
 ウィーンを飛び立ったオーストリア航空機内には、多数のクルド人乗客に交じり、スーツ姿の欧米人ビジネスマン、ドイツ陸軍の軍服に身を包んだ将校の一団、Tシャツにカーゴパンツというラフな服装の民間軍事会社のコントラクター(傭兵)たちの姿がある。多種多彩な乗客の顔ぶれが、これから向かうクルド自治区の状況を物語っている。
 
 イラク北部、クルド自治区の首都アルビル。石油の輸出により経済成長が著しく、大通りには洒落たカフェが並ぶ。

 夜にはナイトクラブで酒を飲み、踊り狂う裕福なクルド人や外国人ビジネスマン。彼らを目当てに世界各国から集まる売春婦。そんな状況を見る限り、ここアルビルから80kmしか離れていない場所に「イスラム国」(IS)のイラクにおける拠点、モスルがあるとは信じ難い。

 2015年6月、ISと戦うクルド自治政府の軍事組織「ペシュメルガ」を取材する為、アルビルからキルクークへと南下する。キルクークはイラク最大の油田地帯。今年1月にISの攻撃を受けたが、ペシュメルガが応戦して侵攻を食い止めた。現在もISとペシュメルガの睨み合いが続いている。

 キルクークの南方カラダラ村にペシュメルガの最前線基地がある。ここはIS支配地域から1kmと離れておらず、ISの陣地が目視出来る。ペシュメルガの兵士に交じり、外国人義勇兵の姿があった。アメリカ人が多いが、カナダ人、イギリス人、フランス人など多様だ。

 そのうちの一人、“ピンキー”と名乗る28歳のアメリカ人は、かつて米陸軍第82空挺師団に6年間在籍し、2007年と2008年に2度のイラク派兵を経験した戦闘のベテラン。ペシュメルガに入隊して1か月という彼に話を聞いた。

関連記事

トピックス

全米の注目を集めたドジャース・山本由伸と、愛犬のカルロス(左/時事通信フォト、右/Instagramより)
《ハイブラ好きとのギャップ》山本由伸の母・由美さん思いな素顔…愛犬・カルロスを「シェルターで一緒に購入」 大阪時代は2人で庶民派焼肉へ…「イライラしている姿を見たことがない “純粋”な人柄とは
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる
JR東日本はクマとの衝突で71件の輸送障害 保線作業員はクマ撃退スプレーを携行、出没状況を踏まえて忌避剤を散布 貨物列車と衝突すれば首都圏の生活に大きな影響出るか
NEWSポストセブン
真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
(写真/イメージマート)
《全国で被害多発》クマ騒動とコロナ騒動の共通点 “新しい恐怖”にどう立ち向かえばいいのか【石原壮一郎氏が解説】
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
”クマ研究の権威”である坪田敏男教授がインタビューに答えた
ことし“冬眠しないクマ”は増えるのか? 熊研究の権威・坪田敏男教授が語る“リアルなクマ分析”「エサが足りずイライラ状態になっている」
NEWSポストセブン
“ポケットイン”で話題になった劉勁松アジア局長(時事通信フォト)
“両手ポケットイン”中国外交官が「ニコニコ笑顔」で「握手のため自ら手を差し伸べた」“意外な相手”とは【日中局長会議の動画がアジアで波紋】
NEWSポストセブン
11月10日、金屏風の前で婚約会見を行った歌舞伎俳優の中村橋之助と元乃木坂46で女優の能條愛未
《中村橋之助&能條愛未が歌舞伎界で12年9か月ぶりの金屏風会見》三田寛子、藤原紀香、前田愛…一家を支える完璧で最強な“梨園の妻”たち
女性セブン
土曜プレミアムで放送される映画『テルマエ・ロマエ』
《一連の騒動の影響は?》フジテレビ特番枠『土曜プレミアム』に異変 かつての映画枠『ゴールデン洋画劇場』に回帰か、それとも苦渋の選択か 
NEWSポストセブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン
ラオスを公式訪問されている天皇皇后両陛下の長女・愛子さまラオス訪問(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《何もかもが美しく素晴らしい》愛子さま、ラオスでの晩餐会で魅せた着物姿に上がる絶賛の声 「菊」「橘」など縁起の良い柄で示された“親善”のお気持ち
NEWSポストセブン