長年連れ添った夫婦といえども“親しき仲にも礼儀あり”を忘れると、知らず知らずのうちにギクシャクした仲になりかねない。美道家・マナーコンサルタントの西出ひろ子さん(48才)が夫の操縦術を教えてくれた。
「つねに夫を意識することはよい夫婦関係を続けるために必要なこと。まず、必ず実行してほしいのが、夫に話しかけるときに、相手の名前を呼ぶことです」(西出さん。以下「」同)
夫に対する妻の不満でよく耳にするのが“話を聞いているのか、いないのか。返事がない”という発言。そんな曖昧な態度をとる夫でも、名前を呼ばれてから話かけられたなら、無視はできないはずと西出さん。
「“ねぇ”では、誰に話しかけているのかわかりませんが、最初に名前を投げかけられたら、返事をしないわけにはいかないですよね」
それでも夫がテレビやゲームに夢中になっていて返事がない場合は、本人のそばに行き、目の前で名前を呼ぶ。
「“なぜ、返事をしないの!?”とイライラするよりも、行動や態度でこちらの要望を明らかに示して、自分の欲しいと思う返事をひきだすくらいでないと。先手必勝ですよ」
とくにお願いごとをするときは、次のような会話術がものをいう。
たとえばゴミを夫に捨ててほしいときは、夫の名前を呼んで返事があった後、「疲れているところ悪いんだけど」という“クッション言葉”をお願いごとの前に入れる。この一言があるとないとでは、お願いごとの達成率が大違いだと言う。
「クッション言葉があると、相手は自分を思いやってくれていると感じてくれます。それから本題のお願いごとを伝えます。
それも“ゴミを捨ててきて”ではなく“ゴミを捨ててきてくれる?”と、最後は必ずはてなマークになるような言い方にします」
こうすると、本心は面倒だと思っている夫も「しょうがないか…」となって、いうことを聞いてくれるのだそう。
「私は仕事前に家事を済ませるのですが、掃除機がけで隣の部屋に移動するときに、掃除機のコンセントも抜くのって、ちょっと面倒じゃないですか。そんなとき夫がいるなら、コンセントを抜いてもらうのをお願いします。私は夫のことを“りゅう先輩”と呼んでいるんですけど、“りゅう先輩、悪いんだけど、掃除機のコンセント抜いてもらえる?”というように」
もちろん、夫は掃除機のコンセントを抜いてくれて、西出さんはラクラク隣の部屋に掃除機がかけられる。
「一言をつけ加えるだけでラクができるなら、使ったほうがお得ですよね(笑い)。
夫を面倒くさい存在と思う人も多いけれど、いてくれると助かることがいっぱいあります。要はコミュニケーションしだいではないでしょうか」
※女性セブン2015年10月22・25日号