謝罪会見で頭を下げる旭化成グループの首脳陣


「本人は意図的にやったわけではなく、杭が(地盤の)支持層まで届いていなかったという認識はないと話しています。古い記憶で証言も曖昧だが、杭の現状を調べれば証言の真偽もはっきりする」

 と、平居副社長。しかし、この現場代理人は今でこそ旭化成建材の契約社員だが、施工当時は下請け会社からの出向だったという。つまり、杭打ち作業は下請けに“丸投げ”されていたのだ。

「これが不動産業界の実態。大型マンションともなると、建設は元請け企業から何十社もぶら下がり、最終的な責任は末端の下請け業者に押し付けられることになる」(ゼネコン関係者)

 こんな無責任体質で出来上がったマンションを買わされる住民はたまったものではない。

 会見で週刊誌記者から、「あなたが住んでいるマンションの杭打ち工事はどこが担当したのか?」と皮肉交じりに問われた浅野社長は、「私の住んでいる場所も含めてプライベートな質問に答えるつもりはない」と一瞬ムッとした表情で答えた。

 コンプライアンスの強化を謡う前に、まずは現場からもっとも遠い経営陣がいかに不安な住民の気持ちに立てるか――。補償内容も含め、いま、その対応力が問われていることを肝に銘じるべきだ。

●撮影/横溝敦

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