国内

痴漢は事件化したら有罪率99% 留置場を出るため認める人も

 痴漢は刑法の強制わいせつ罪や各都道府県の迷惑防止条例違反で処罰される性犯罪1990年代半ばからの痴漢撲滅運動の高まりで、女性が泣き寝入りせず、“女の敵”が捕まることが増えたのは、当然の正義の流れではある。

 しかし、たとえ潔白であっても犯人と疑われると反証が難しく、逮捕となったら人生が一変しかねない危険性もはらんでいる。象徴的なのが2014年7月に逆転無罪が確定した東京・三鷹バス痴漢えん罪事件だ。この被疑者となった中学教師は、乗り込んだバス車中で女子高生から痴漢行為を疑われた。

 しかし「右手で携帯電話を操作し、左手でつり革を持っていた」と無罪を主張。その様子が車載カメラに残り、メール通信記録も提出され、検査で手から女性のスカートの繊維片も検出されなかった。にもかかわらず、1審で有罪判決が出たことは、いかに無実の立証が困難かを物語る。

「客観的証拠が多かったこの事件ですら、無罪確定するまで結局2年半かかりました。車載カメラのあるバスにくらべ、防犯カメラがほとんどない電車で容疑をかけられたら、反証がより難しくなります」

 と語るのは、東京ディフェンダー法律事務所の弁護士・坂根真也さんだ。

 坂根さんが指摘するように、JR埼京線で2009年12月から防犯カメラが設置されたものの、電車はバスにくらべて防犯カメラ設置がまだまだ少なく、痴漢の半数以上が電車で発生しているというデータが。

 警視庁管内での痴漢(迷惑防止条例違反)の年間の検挙数は2000件前後で推移している。 刑事事件の捜査・公判の有罪率が99%超という実態について、最高検検事を務めた日比谷ステーション法律事務所の弁護士・粂原研二さんはこう語る。

「有罪率99%超というのは、1000人起訴されれば999人が実際に犯罪を行ったというわけではなく“本当はやっていないけれど留置場から早く出たい”ために事実を認める供述をして、罰金を納めたり、執行猶予つきの有罪判決を受け入れた人も含まれています」

※女性セブン2015年11月12日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

10月に公然わいせつ罪で逮捕された草間リチャード敬太被告
《グループ脱退を発表》「Aぇ! group」草間リチャード敬太、逮捕直前に見せていた「マスク姿での奇行」 公然わいせつで略式起訴【マスク姿で周囲を徘徊】
NEWSポストセブン
65歳ストーカー女性からの被害状況を明かした中村敬斗(時事通信フォト)
《恐怖の粘着メッセージ》中村敬斗選手(25)へのつきまといで65歳の女が逮捕 容疑者がインスタ投稿していた「愛の言葉」 SNS時代の深刻なストーカー被害
NEWSポストセブン
俳優の水上恒司が年上女性と真剣交際していることがわかった
「はい!お付き合いしています」水上恒司(26)が“秒速回答、背景にあった恋愛哲学「ごまかすのは相手に失礼」
NEWSポストセブン
三田寛子と能條愛未は同じアイドル出身(右は時事通信)
《梨園に誕生する元アイドルの嫁姑》三田寛子と能條愛未の関係はうまくいくか? 乃木坂46時代の経験も強み、義母に素直に甘えられるかがカギに
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる(クマの画像はサンプルです/2023年秋田県でクマに襲われ負傷した男性)
ヒグマが自動車事故と同等の力で夫の皮膚や体内組織を損傷…60代夫婦が「熊の通り道」で直面した“衝撃の恐怖体験”《2000年代に発生したクマ被害》
NEWSポストセブン
対談を行った歌人の俵万智さんと動物言語学者の鈴木俊貴さん
歌人・俵万智さんと「鳥の言葉がわかる」鈴木俊貴さんが送る令和の子どもたちへメッセージ「体験を言葉で振り返る時間こそが人間のいとなみ」【特別対談】
NEWSポストセブン
大谷翔平選手、妻・真美子さんの“デコピンコーデ”が話題に(Xより)
《大谷選手の隣で“控えめ”スマイル》真美子さん、MVP受賞の場で披露の“デコピン色ワンピ”は入手困難品…ブランドが回答「ブティックにも一般のお客様から問い合わせを頂いています」
NEWSポストセブン
佳子さまの“ショッキングピンク”のドレスが話題に(時事通信フォト)
《5万円超の“蛍光ピンク服”》佳子さまがお召しになった“推しブランド”…過去にもロイヤルブルーの “イロチ”ドレス、ブラジル訪問では「カメリアワンピース」が話題に
NEWSポストセブン
「横浜アンパンマンこどもミュージアム」でパパ同士のケンカが拡散された(目撃者提供)
《フル動画入手》アンパンマンショー“パパ同士のケンカ”のきっかけは戦慄の頭突き…目撃者が語る 施設側は「今後もスタッフ一丸となって対応」
NEWSポストセブン
大谷翔平を支え続けた真美子さん
《大谷翔平よりもスゴイ?》真美子さんの完璧“MVP妻”伝説「奥様会へのお土産は1万5000円のケーキ」「パレードでスポンサー企業のペットボトル」…“夫婦でCM共演”への期待も
週刊ポスト
俳優の水上恒司が年上女性と真剣交際していることがわかった
【本人が語った「大事な存在」】水上恒司(26)、初ロマンスは“マギー似”の年上女性 直撃に「別に隠すようなことではないと思うので」と堂々宣言
NEWSポストセブン
劉勁松・中国外務省アジア局長(時事通信フォト)
「普段はそういったことはしない人」中国外交官の“両手ポケットイン”動画が拡散、日本側に「頭下げ」疑惑…中国側の“パフォーマンス”との見方も
NEWSポストセブン