メチル化カテキンがヒスタミンの放出を抑制し、目や鼻の不快感を緩和する
こうした“味”の面も大切だが、機能性表示食品としての“機能”の面に興味を持つ消費者も多いだろう。同商品の共同研究を行なった農業・食品産業技術総合研究機構 食品総合研究所 食品機能研究領域長 山本万里先生に、『めめはな茶』の原料である「べにふうき」茶葉や、目や鼻の調子を整える成分「メチル化カテキン」の特徴などについて、話を聞いた。
「『べにふうき』というのは、緑茶や紅茶を作るお茶の品種のひとつで、元々は紅茶系の品種です。名前のなかにある“ふうき(富貴)”は多量に採れること、非常に香り高いことから名付けられました。加工方法によって、緑茶・紅茶・中国茶などさまざまなお茶になりますが、いずれも味・香りの評価が高く、イギリスの品評会で金賞を獲得したこともある、高品質な品種です。このように嗜好品であるお茶としても優れた『べにふうき』ですが、緑茶に加工した時に含まれる成分『メチル化カテキン』には、アレルゲンに反応してアレルギーに関連する細胞から起こるヒスタミンの放出を抑制し、不快感を緩和する機能があります。
この成分は『べにふうき』茶葉を紅茶に加工した場合には消失してしまい、一般的な緑茶である『やぶきた』には、全く含まれません。『メチル化カテキン』というのは私たちの造語で、緑茶特有の成分として、よく知られているカテキンの一種『エピガロカテキンガレート』の構造の一部に『メチル基』がくっついたものです。正式名称は『エピガロカテキン-3-O-(3-O-メチル)ガレート』(EGCG3″Me)ですが、『メチル化カテキン』が略称として、一般的に通用するようになりました」(山本先生)
ではどういったメカニズムで、アレルギー反応を緩和するのだろうか?
「少し専門的な話になりますが、IgE抗体という免疫に関係するタンパク質に、原因物質であるアレルゲンがくっつくと、その刺激が伝わり、アレルギーに関連する細胞からヒスタミンなどが放出されることで、アレルギー反応がおきます。『メチル化カテキン』はこの刺激の伝達をブロックする働きがあり、ヒスタミンの放出を抑えることで、目や鼻の不快感を緩和します。
これから年末の大掃除の時、ハウスダストなどでクシュンときたら、ぜひ試してみてもらいたいですね」(山本先生)
これらの「メチル化カテキン」が作用することを示す細胞実験、マウス実験、ヒト介入試験のデータは、すべて論文として発表されたもので、こうした論文を元に、機能性表示食品としての届け出がされているという。しかし一般の消費者には、これら学術系論文の届け出書類を理解するのはなかなか大変だ。
研究者の立場から、機能性表示食品制度についても詳しい山本先生は、「消費者にとって“気づき”のきっかけになるという点で、良い制度です」と語る。