それまでも自分なりに一生懸命やってきたつもりでしたが、師匠の舞台を観た瞬間から、「そういうやり方があったか」と視野が広がりました。
とん平師匠世代の本物のボードビリアン(※風刺などを滑稽に演じる俳優)は皆、ダンスや漫才、落語に舞踊など、あらゆる芸事を真剣に練習していました。僕もそれに倣い、いまだにロボットダンスを練習しています。そしてCG技術の発展で、「ロボット」に対する世間のイメージが日々変化しているから、それに合わせて最新の動きを取り入れるようにもしています。
例えば、昔のロボットの動きは硬い。(手を直角に曲げて見せて)こうやってカク、カクと動いたり止まったりするものでした。一方で最近のアンドロイドはもっとなめらかで、止まるときに少し揺らぐ。だから自分なりに細かい設定を作って、完成度を高めています。そこまでこだわり抜いて演じると、お客さんも「あれはロボット? アンドロイド?」と考える。そうやって世界に引き込んだところで、ふざけるわけです。
真剣にやるからこそ面白い。とん平師匠にそう教わった気がします。手を抜かないでやっているかどうか、観客にはわかるんですよ。やりすぎて、ものまねしたご本人に怒られることはよくありますけどね(笑い)。
●ころっけ(タレント)/1960年熊本県生まれ。1980年、「お笑いスター誕生!!」(日本テレビ系)でデビュー。現在のものまねレパートリーは300種類以上。
※週刊ポスト2015年12月11日号