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栃木糖尿病男児死亡事件 逮捕された祈祷師の母が涙の謝罪

 栃木県宇都宮市で糖尿病を患っていた今井駿くん(7才)が、適切な治療を受けられずに亡くなった。自称祈祷師・近藤弘治容疑者(60才)が、駿くんの病「1型糖尿病」には必要不可欠なインスリン注射をさせなかったのだ。「1型糖尿病」は、インスリンの分泌が止まるため1日3回のインスリン投与が不可欠な現代医療では不治の病だ。

 そんな病を抱えた駿くんに注射をしないということは、まさに死を意味していた…。近藤容疑者の逮捕を受けて、近隣住人は一様に口を揃える。

「やっぱりこうなった…」

 下野市で生まれ、重機関係の会社を経営していた近藤容疑者だが、近年まともに仕事はしておらず、奇行がつとに知られていた。

「ずっと独身で、子供もいなくてね。スピリチュアルに走ったのは7年前かな。きっかけはわからない。“おれは弘法大師の生まれ変わりだ”とか言い出したかと思ったら、『龍神』を名乗って祈祷治療を始めた。“がんも心臓病もおれがみた患者は全員治った”なんて豪語していた。夜中にお経みたいな音楽を大音量でかけたり、変な人だった」(近隣住人)

 県道沿いには、今も近藤容疑者が建てた治療の宣伝看板がある。

《ガン・難病 心霊治療 お気軽にご相談下さい》

 こんな文言の下に、近藤容疑者の携帯電話番号が大きく書かれている。

 駿くんの両親のように、現代医療では治らない患者の中には、近藤容疑者にすがる人間がいたという。

「3か月前、自宅の前に100基以上の墓石が積まれていました。“病気になるのは先祖が悪い”って、相談に来た患者の代々のお墓を全部壊して撤去してきちゃったんだって。とんでもない話ですよ。でも、患者はみんな弱り切ってるから、言われるがままなんでしょう。そういう弱みにつけ込んで…。許せない。駿くんの事件は気の毒だったけど、同じような被害者はまだいるんじゃないかって、このあたりの人はみんな言ってます」(別の近隣住人)

 11月末の夕刻、近藤容疑者の実家を訪ねると、年老いた母親(86才)が這うように出てきた。

「今日も透析やってきてつらいんです。でも、夫も90才で膀胱に管入ってっから。こういう対応は私がやらんと」

 そうこぼす母親は、息子の事件について、時折涙を浮かべながら語り始めた。

「あの子が祈祷をやってるなんて全然知らなかった。10年以上前に縁を切ってるから。あの子は親ともきょうだいとも合わなくてね。お金を何度もせびられて、そのたびに畑売ってお金作って…。でも、もうキリがないっていうんで。

 そんな状態だったから事件には仰天してしまって何が何だかわからんのです。ただ、向こうのご両親と息子さんには本当に申し訳ない。私が命絶ってお詫びしなくちゃいけないと思ってます」

 宇都宮市内の駿くんの自宅に行くと、彼の乗っていた児童用の小さな自転車が、いつものように置いてあった。

※女性セブン2015年12月17日号

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