布団だけでなく毛布も同様で、素材によって「上向き」「下向き」がある。
「カシミヤなど動物性のものなら肌に近いほうが良いといわれています。マイクロファイバーの毛布は保温性はありますが、蒸れる。布団の上からかけた方が快適です」(前出・三橋氏)
欧米では圧倒的に「上毛布」派が多いという。一方、日本では元々「下毛布」派が多いことに別の背景を指摘する声もある。株式会社エムールが運営する「ねむりくらし研究所」の長江亮・研究員が語る。
「欧米では羽毛布団と体の間にシーツを挟み、一番上に毛布を掛ける。その背景には、“何を洗うか”という文化的な側面があると考えられます。シーツを洗う欧米人とは違い、日本人の7割は毛布を定期的に洗うというデータがあり、月1回程度洗濯するのが標準だといわれています。直接肌に触れる部分には定期的に洗える毛布を使い、あまり洗わない掛け布団は直接触れないようにしたかったのでは」
しかも最近、「上には羽毛布団だけを掛けて、毛布は体の下に敷くのが一番温かい」という、「体の下に毛布派」が出てきたことにより、いよいよこの論争は混迷を極めてきた。
どの説を採用するにせよ、個人に合った、寝心地の良いものが一番なのはいうまでもない。
※週刊ポスト2015年12月18日号