「背中に爆薬が仕込まれているので大きめの上着を着るとまるで目立たない。靴紐にしてもベストにしても、武器とは思えない形状をしています。だから身につけている者がテロリストであることを見抜くのは難しいのです」(大泉氏)
日本はこうしたテロリストへの警戒心が薄い。今年6 月に起こった東海道新幹線での焼身自殺事件は、日本人の危機感の乏しさを物語る実例だと大泉教授は指摘する。
「あの事件以降、専門家からセキュリティ強化の必要性が盛んに叫ばれたが、実施されたのはせいぜい防犯カメラの強化くらいです。本気で対策するつもりがあるなら、新幹線の車両の扉を3か所程度に制限して、荷物チェックを行なうなどのことはやらないといけません」
2016年には伊勢志摩サミットの開催が迫る。世界中から要人が集まる会場で何かが起これば日本の信頼は一気に失墜する。
「会場周辺の警備には力が入るだろうと思います。しかし、テロのターゲットはサミット会場だけではありません。パリで起こったテロが物語るように、テロリストは思いもかけない場所で、思いもかけない武器を使って行動を起こします。47都道府県の全てが危険にさらされると思っていい」(大泉氏)
4年後には東京オリンピック・パラリンピックも開催される。日本にはテロに対する十全な準備が求められている。
写真提供■大泉光一