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有名企業社長の賞与1位は6億3000万円 金額の決め方は?

 経団連の第1回集計(10月30日発表)では、大手企業の冬のボーナス妥結額は昨冬より3.13%増の91万697円だった。

「平均額は3年連続の増加で第1回集計としては過去最高額です。自動車、機械金属、造船、電機などで企業業績が拡大し、好調な業績が冬のボーナスに反映された」(経団連労働政策本部)

 今年は夏のボーナスでも最終集計の妥結額が過去3番目に高い89万2138円を記録している。

 とはいえ、東京商工リサーチの協力を得て、上場企業の有価証券報告書から「社長のボーナス」を抽出した有名企業トップのボーナス額をみると、一喜一憂するのがバカらしくなる。彼らが「賞与」として受け取る額はサラリーマンの生涯賃金を上回ることさえあるのだ。

 そもそも社長のボーナスはどう決まるのか。賃金ジャーナリストの溝上憲文氏がいう。

「社長を含む役員の賞与は取締役会や、役員で構成された報酬委員会の会議で支給月数を決めるか、前年度の会社業績を指標に業績連動で決めるかが基本となる。業績連動の場合、役員は担当部門ごとの業績、社長や会長は経常利益や純利益が指標となる。最終決定は取締役会で行なわれます。支給時期は社員と同じく、夏と冬の2回に分けて支給されるのが一般的です」

 この時期、冬の賞与を待ち望んでいるのは社長も同じなのだ。ただその額はとてつもなく大きい。

 ランキング1位は、自動車部品製造を手がけるユーシンの田邊耕二・会長兼社長。かつて本誌インタビューに自らの報酬について「高いとは全然思っていません」と言い放った名物社長のボーナス額はなんと6億3000万円だった。

 2位は米国の栄養食品販売会社の日本法人、シャクリー・グローバル・グループのロジャー・バーネット執行役会長・社長兼CEO。賞与は4億6000万円で本給の倍以上の金額だ。

 外資系企業のボーナスは「業績連動」の幅が大きいと前出・溝上氏が指摘する。

「外資系は“社長の報酬は経営手腕次第で変動すべきだ”という考えが強く、ボーナスは業績との連動性が高い。結果を出した分だけ大きく稼げる仕組みが経営者の大きなインセンティブになっていて、賞与が本給を大幅に上回るケースもある」

 近年は日本企業も欧米流の「業績連動」が増えてきたようだ。

 その代表格は、ランキング3位に入った稲葉善治・社長の電気機器メーカー・ファナックだ。賞与は3億円を超え、本給1億7700万円をはるかに上回る。企業に詳しいジャーナリストの前屋毅氏が解説する。

「ファナックは利益率が高いことで有名ですが、それをしっかり反映している」

 ランキング対象外だが、ファナックは社長以外に役員10人のボーナスも1億円を超えている。

※週刊ポスト2015年12月25日号

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