国内

2015年のネット 印象に残ったのはサルの「シャーロット騒動」 

ネットで話題となった「シャーロット騒動」(高崎山自然動物園HPより)

 今年も様々な出来事がネット上では発生した。毎年東京・阿佐ヶ谷のライブハウス、阿佐ヶ谷LOFT-Aでブロガー・投資家の山本一郎氏と「ネットニュースMVP祭」を2010年から行っているネットニュース編集者の中川淳一郎氏が、今年特に印象に残っているネットで盛り上がったできごとは「高崎山自然動物園シャーロット騒動」だという。以下、中川氏が語る。

 * * *
 イギリス王室のウィリアム王子とキャサリン妃の間に長女・シャーロット王女が誕生しました。高崎山自然動物園では毎年最初に生まれた赤ちゃんザルの名前を公募し、ランキング1位の名前をそのサルにつけるそうです。こうした投票ってものは、その時に流行っている名前に引きずられる形でつけられるものです。投票の頃は、英王室の赤ちゃん「シャーロット」王女のことが頻繁に報じられていた時期ですから、かわいいサルにもその名前をつけることは人間の素直な行動様式としては理解できます。

 しかし、これに人々がかみついた! 「サルに王女の名前をつけるとは失礼だ!」ということですね。かみつくってお前らはサルかよ。完全に言いがかりでしかないのですが、高崎山自然動物園は困惑し、英国大使館に聞いてみるよ的な発言をするのですね。つーか、クレームつけた人々はパンダとかイルカとかネコに「シャーロット」とつけたら文句言ったのか? サル差別してるんじゃないの? とも思うわけですが、とにかく「不敬だ!」と言ってくる。高崎山自然動物園はネーミング変更も考慮したことでしょう。

 その後、イギリスの新聞がこの騒動を特にネガティブではない論調で報じたり、英王室広報が「名前をつけるのは自由だ」と発言したことにより、「シャーロット」のままになりました。クレームつけた人々は英国民や英王室の気持ちを忖度(そんたく)し、正義の行動に出たと思ったのでしょうが、結局当人から「別にそんなことどうでもいいんじゃね?」と梯子を外される結果となりました。この騒動に対しては元々クレームをつけた人々のことを「過剰反応だ」と批判する向きもあったのですが、まさに過剰反応でしたね。

 自分が正義である、との立場から怒りのクレーム鉄槌をくらわし、世直しをする気持ちになっている方々が案外多く、クレームをつけられた側も平身低頭でお詫びする。自分のやっていることがおかしくないと思ったのであれば、そこは「お客様の投票をもとに、私どもが決めたことですので、口出しは無用です」ぐらい言っていいのではないでしょうか。

 余談ですが、2位がお笑いコンビ・8.6秒バズーカーの「ラッスンゴレライ」にちなんで「ラッスン」だったので、数年後には一体何のことだったか分からなくなるかもしれないので、「シャーロット」で結果オーライです。シャーロットさんが大きくなれば、また高崎山動物園のシャーロットも思い出してもらえますからね。

 高崎山自然動物園では12月25日から「選抜総選挙」の投票企画を行なっています。AKBグループの総選挙と同様に、人気のサルを動物園とネットで投票する企画ですが、当然シャーロットが「センター」の有力候補となることでしょう。

 それにしても、山形県の鶴岡市立加茂水族館で3月に産まれたゴマフアザラシの赤ちゃんがひっそりと「エリザベス」になっていたことに対して、目立ったクレームが来なかったのには胸を撫で下ろしました。

関連キーワード

トピックス

旧統一教会は今後どう動くのか(時事通信フォト)
解散命令を受けた旧統一教会 「自民党への復縁工作」もありうると鈴木エイト氏指摘、教団と議員の関係を示す新情報リークの可能性 石破首相も過去に接点
週刊ポスト
藤川新監督(左、時事通信フォト)の船出とともに、名物商店街にも大きな変化が
阪神「日本一早いマジック点灯」のボードが電光掲示板になっていた! 名物商店街が今季から「勝った翌日に減らす」方式を変更 貼り替え役の店長は「ようやく解放される」と安堵
NEWSポストセブン
ドバイの路上で重傷を負った状態で発見されたウクライナ国籍のインフルエンサーであるマリア・コバルチュク(20)さん
《ドバイの路上で脊椎が折れて血まみれで…》行方不明のウクライナ美女インフルエンサー(20)が発見、“危なすぎる人身売買パーティー”に参加か
NEWSポストセブン
公開された中国「無印良品」の広告では金城武の近影が(Weiboより)
《金城武が4年ぶりに近影公開》白Tに青シャツ姿の佇まいに「まったく老けていない…」と中華圏のメディアで反響
NEWSポストセブン
女子ゴルフ界をざわつかせる不倫問題(写真:イメージマート)
“トリプルボギー不倫”で揺れる女子ゴルフ界で新たな不倫騒動 若手女子プロがプロアマで知り合った男性と不倫、損害賠償を支払わずトラブルに 「主催者推薦」でのツアー出場を問題視する声も
週刊ポスト
林芳正・官房長官のお膝元でも「10万円疑惑」が(時事通信フォト)
林芳正・官房長官のお膝元、山口県萩市の元市議会議長が“林派実力者”自民党山口県連会長から「10万円入りの茶封筒を渡された」と証言、林事務所は「把握していない」【もうひとつの10万円問題】
週刊ポスト
本格的な活動再開の動きをみせる後藤久美子
後藤久美子、本格的な活動再開の動き プロボクサーを目指す次男とともに“日本を拠点”のプラン浮上 「国民的美少女コンテスト」復活で審査員を務める可能性も 
女性セブン
24時間テレビの司会を務めた水卜麻美アナ
《水卜アナ謝罪の『24時間テレビ』寄付金着服事件》「まだ普通に話せる状況ではない」実母が語った在宅起訴された元局長の現在
NEWSポストセブン
すき家の「クチコミ」が騒動に(時事通信、提供元はゼンショーホールディングス)
【“ネズミ味噌汁”問題】すき家が「2か月間公表しなかった理由」を正式回答 クルーは「“混入”ニュースで初めて知った」
NEWSポストセブン
スシローから広告がされていた鶴瓶
《笑福亭鶴瓶の収まらぬ静かな怒り》スシローからCM契約の延長打診も“更新拒否” 中居正広氏のBBQパーティー余波で広告削除の経緯
NEWSポストセブン
すき家がネズミ混入を認める(左・時事通信フォト、右・HPより 写真はいずれも当該の店舗、スタッフではありません)
《丸ごとネズミ混入》「すき家」公式声明に現役クルーが違和感を覚えた点とは 広報部は「鍋に混入した可能性は著しく低い」と回答
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 山本太郎が吠えた!「野党まで財務省のポチだ」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 山本太郎が吠えた!「野党まで財務省のポチだ」ほか
NEWSポストセブン