アメは大規模テーマパークだ。菅氏はこれまで沖縄へのユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)のテーマパークの誘致に力を入れ、本部町や名護市が具体的な候補にあがっている。そこに割り込むように今年1月24日投票の宜野湾市長選を前に、普天間基地の跡地に「ディズニー・リゾート」誘致構想が急浮上、菅氏はこちらも「政府として支援をできることはしっかり支援していきたい」と後押しした。
政府がテコ入れして沖縄に2つの世界的テーマパークを誘致するなど、リップサービスにしても大風呂敷過ぎる。
一方で、反対派には容赦なくムチを振るう。辺野古の基地予定地の埋め立て承認を取り消した翁長知事を相手に法廷闘争を展開し、来年度予算編成で「沖縄振興予算の減額」をちらつかせて揺さぶった。自民党閣僚経験者が「絶対オレが喋ったとわからないようにしてくれ」と念押しして語る。
「菅さんは軽減税率や沖縄の予算だけでなく、埋め立て承認取り消しの法廷闘争などでも役所に圧力をかけ、関係部局は相当怒鳴られた。それほどの力を持つと、役人は怖がるだけではなく、官房長官に擦り寄って、上司の大臣より菅さんのいうことを聞くようになる。各省の局長クラスはいまや総理より菅さんの顔色を窺っている。
関西の議員は大阪ダブル選挙でおおさか維新を支持した菅さんに不信感を持ち、軽減税率では公明党案丸のみして党執行部が蔑ろにされた。大臣たちには不満がたまっている。それなのに誰も表だって意見できないのは、総理より菅さんに睨まれるのが怖いからです」
まさに下剋上の「菅独裁」である。党内にはいま、“戒厳令”が敷かれているといっても過言ではない重い空気がたちこめている。
※週刊ポスト2016年1月15・22日号