ライフ

物欲の強い女の子の怨念に操られた、恐怖のピエロ人形

 怖い話は夏だけのものではない。寒い冬だからこそ、さらに背筋が凍るような怪談をお送りする。20才の学生だという女性が、中学生の頃に体験した人形にまつわる不思議で怖いお話です。

 * * *
 私が中学生の頃のことです。父の転勤に伴って、神戸に引っ越しました。父方の祖母が神戸にいたので、私たちは祖母の家に同居することにしました。

 祖母の家は御影地区にありました。立派な門の先に庭が広がっていて、仮住まいとはいえ、母は大喜びでした。同じ敷地に、もう1軒家がありました。1人暮らしの祖母が家賃収入を得るために建てた家で、1家族3人が住んでいました。その家の小4の娘はマリといい、とても物欲の強い子でした。しょっちゅううちに来ては、「これ、欲しい」「あれ、いいなあ」と物をねだるのです。

 私は人形をたくさん持っていました。もう中2で人形から卒業していたので、お気に入りのピエロの人形以外、全部マリにあげました。

「これは大事な人形だから、あげられない」

 私はそう言いましたが、それからもマリはうちに来て、いかにも欲しそうにピエロの人形を見つめるのです。ある日、部屋からピエロの人形が消えました。マリの仕業に違いありませんが、その翌日もマリはうちに来て、平気な顔で物をねだるのです。

 どうしようもなく腹が立ち、母に事情を話しました。ピエロの人形は、小学校の入学祝いに母に頼んで買ってもらったものだったのです。

「私がうまく話してみる」

 母がどう話したのかはわかりませんが、人形は戻り、マリはうちに来なくなりました。正直、せいせいしましたが、数日して急に怖くなりました。マリが2階の窓からじっとこっちを見つめているのです。それも、昼となく夜となく。

 もっと怖かったのは、ごみ置き場に、私があげた人形が捨てられていたことです。どの人形も、手足をばらばらにされ、胴体と顔だけになっていました。その数日後、郵便受けに別の人形が入っていました。それも私があげたものです。人形は片目をくり抜かれ、奥にメモ用紙が押し込まれていました。

〈死ね。しぶちん(註:物や金を出し惜しみする人)〉──メモには乱暴な文字でそう書かれていました。

関連キーワード

トピックス

民放ドラマ初主演の俳優・磯村勇斗
《ムッチ先輩から1年》磯村勇斗が32歳の今「民放ドラマ初主演」の理由 “特撮ヒーロー出身のイケメン俳優”から脱却も
NEWSポストセブン
亡くなった米ポルノ女優カイリー・ペイジさん(インスタグラムより)
《米ネトフリ出演女優に薬物死報道》部屋にはフェンタニル、麻薬の器具、複数男性との行為写真…相次ぐ悲報に批判高まる〈地球上で最悪の物質〉〈毎日200人超の米国人が命を落とす〉
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
松竹芸能所属時のよゐこ宣材写真(事務所HPより)
《「よゐこ」の現在》濱口優は独立後『ノンストップ!』レギュラー終了でYouTubeにシフト…事務所残留の有野晋哉は地上波で新番組スタート
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
早朝のJR埼京線で事件は起きた(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」に切実訴え》早朝のJR埼京線で「痴漢なんてやっていません」一貫して否認する依頼者…警察官が冷たく言い放った一言
NEWSポストセブン
降谷健志の不倫離婚から1年半
《降谷健志の不倫離婚から1年半の現在》MEGUMIが「古谷姓」を名乗り続ける理由、「役者の仕事が無く悩んでいた時期に…」グラドルからブルーリボン女優への転身
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン
放送作家でコラムニストの山田美保子さんが、さまざまな障壁を乗り越えてきた女性たちについて綴る
《佐々木希が渡部建の騒動への思いをストレートに吐露》安達祐実、梅宮アンナ、加藤綾菜…いろいろあっても流されず、自分で選択してきた女性たちの強さ
女性セブン