「自社の商品やサービスの価格を付けるときに、ほとんどの人は、なるべく競合他社が提供している価格よりも、低い価格を付けることを考えます。製造・販売コストが抑えられれば、低い価格で勝負するでしょう。シェアをとってしまえば、有利に戦えるからです。

 しかし、それでは、いつのまにか価格競争に巻き込まれて、その商品・サービスのマーケットでは、全員が赤字になる、といった事態になる可能性もありえます。もし、提供する商品・サービスの市場平均価格が5万円で、最も高い価格設定が10万円だったとすると、私は間違いなく、10万円で売ろうとします。

 なぜ、10万円でも売れているのか、どんなお客さんが買っているのかを分析して、顧客を奪うことを考えるでしょう。顧客の感情を読み、何を欲しがっているのかを考えることができれば、こうしたビジネスのやり方が正解になるのです」

「顧客の感情を考える上で、シチュエーションは極めて重要です。シチュエーションによって、感情が左右されるからです。したがって、こちらが望む顧客はどこにいるのかを考えるマーケティングが大事になってくるのです。

 1つだけわかりやすい例を挙げましょう。私の住んでいるマレーシアでは、よく、駅前とかホテルの前に、タクシーが行列をしています。お客がいないときは、かなりの時間を浪費することになります。お客が来ても、行く先は近場で済んでしまうことが多いはず。

 私がドライバーなら、決して行列に並ぶことはないでしょう。実は、タクシーの良質な顧客はバス停のバスを待っている人の中にいます。都心のバスは、道路が渋滞しがちなので、早朝から夕方まで、時間通りにはなかなか来ません。イライラしている人は多いでしょう。そんなところにタクシーがあれば、乗る人が出てきます。みなさんも、思わず乗ってしまった経験はありませんか?

 バスで移動しようとしていた人であれば、そこそこの距離を移動するはずです。行きたい場所に時間通りに行けない損失が、10倍以上のタクシー代にかわるわけです。これは分かりやすい例ですが、大事なことは、相手の感情を読む、どこの客がいるのかを考える、といった“考える”ことなのです。その考え方をアドバイスするのが、私の仕事だと思っています」

 インタビュー中、船ヶ山氏は、よく「再現性」という言葉を使う。「再現性がある」とは、ある理論に基づいた行為をすれば、同じ結果が得られる、ということだ。コンサルティング成果が出なかった場合、「ケースバイケース」という言葉で済まされてしまうことも多い。しかし、船ヶ山氏は、それではコンサルタントとして失格だという。

「どんな状況であれ、一定の成果を導き出せないということは、そのアドバイスが理論的に確立していないと考えられます。きちんとした再現性のあるアドバイスをするのが、コンサルタントの役目ではないでしょうか」

※マネーポスト2016年新春号

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