大阪出身の清水アナは、中央大学を卒業後、2001年に読売テレビに入社。情報バラエティー番組などを担当していたが、2009年3月に放送がスタートした『ten.』を担当することになり、2011年9月からはメーンキャスターに抜擢され、関西では知らぬ人がいない人気アナとなった。
この番組のスタイリストをしていたのが奈緒さんだった。清水アナと奈緒さんは、2013年5月にゴールイン。翌2014年3月に妊娠がわかる。しかし2014年4月30日、奈緒さんの左胸の下の脇に近い部分に乳がんが見つかった。
妊娠を継続するか、今回は治療だけに専念し、出産をあきらめるのか──夫妻は幸せの絶頂から一転、「命の選択」を迫られた。
交際中も結婚してからも、いつも笑顔で、3歩下がって夫を支えてきた奈緒さんは、「あれが欲しい」とか「これを買って」とかを一切口にしなかった。その奈緒さんが、初めてはっきりと清水アナに目で語りかけていたという。「私は産みたい」と。
2014年10月、無事に長男(1才3か月)が誕生。その直後、奈緒さんの体は一気に病魔に蝕まれたのだった。
「奈緒が亡くなってからのこの1年間は、アナウンサー生活15年の中でいちばん働いた1年だったかもしれません。あえて土日も取材を入れたりしましたし。奈緒が頑張った意味を残すためにも、ぼくが踏ん張らなくちゃいけないって、かっこつけてきたんです。でも一周忌を迎えるにあたって、ちょっと心が折れそうというか…ギリギリの状態というのが正直なところです…」
清水アナはそう言うと、左手薬指の結婚指輪に右手を重ねた。
※女性セブン2016年2月25日号