「羽生は今シーズンのNHK杯でチャンの持っていた世界歴代最高得点(295.27点)を大幅に塗り替え300点超えという前人未到の点数を記録。翌月のGPファイナルでは、自身の記録をさらに更新し330点台に。この先、羽生の絶対王者の座を揺るがす相手はおらず、自分自身との闘いになると誰もが思っていました。しかし、今回のチャンの演技を見ると、違う。300点超えを狙える演技に押し上げてきた。2人で異次元の領域に足を踏み入れた」(スポーツ紙フィギュア担当者)
◆羽生の靴でチャンが腹部をケガ
ライバルとしてしのぎを削る2人だが、“場外乱闘”と注目を集めることもあった。ソチ五輪のSPで羽生が世界最高得点で首位に立つと、チャンは、「羽生の得点が高すぎるとは言いたくないし、審判を批判するつもりもない。しかし、明日には多くのことが変わるだろう」と話した。
ソチ五輪のエキシビションでは羽生のスケートシューズのエッジが誤ってチャンに当たり、腹部に傷を負わせてしまうアクシデントがあった。
「チャンは五輪後にその傷を自分のインスタグラムにアップして世界に配信しました。もちろん羽生はすぐに謝罪していたのですが…」(前出・フィギュア担当者)
昨年5月、ソチ五輪後、1年間の休養をとっていたチャンが復帰する際のインタビューでは羽生の演技について「途中は早回しで見ました。今までのプログラムとあまり変わってない印象だった」と評価した。
それでも2人はお互いを認め合う、名実ともによきライバルである。チャンは今年1月の雑誌のインタビューで、《彼は僕がやらないことをやるし、僕も彼のやらないことをやりたい。僕たちは一概に比べることはできない》と語っていた。
一方の羽生は互角といわれた2013-2014年シーズンを終えて、「今季はパトリックと3戦続けて戦ったことで、自分への集中の仕方を学ぶことができました。パトリックのお陰で、マインドコントロールも上手くできるようになった」と話している。
「SPとフリーを合わせて、羽生は4回転を5回跳んでいるのに対し、チャンは3回。また羽生は4回転を2種類跳べますが、チャンは1種類だけです。2人が全力を出し切れば羽生が優勢ですが、まったく油断はできません」(前出・佐野氏)
※女性セブン2016年3月10日号