それは「国民一人当たりの総合的な豊かさ」という国連の統計で示すことができる(「総合的な富裕度報告書2012」より)。1位の日本は43万5486ドル。2位のアメリカは38万6351ドル、3位のカナダは33万1919ドルで、4位のノルウェーが32万7621ドル、5位のオーストラリアが28万3810位だった。EUの盟主ともいわれるドイツが6位で21万6115ドルだ。
詳しく説明すると、会社側が要求した職務内容を理解して遂行する能力や組織の中で円滑な人間関係を維持する能力など、日本人なら当たり前に持っているような「人的資本」は1位。
時刻通りに運行される鉄道網などのインフラの蓄積である「生産資本」も1位。そこに「天然資本」(石油やガスなどの資源だけでなく、森林、水資源なども含む)を加えて総合的に評価すると、アメリカを上回る世界一なのだ。
為替レートや人口動態に強い影響を受ける名目GDPでは、本当の国力が測れないことに気づかされるだろう。
「打率と打点だけが良ければいい野球選手とは言い切れないでしょう? チャンスでの強さを示す得点圏打率など、より詳細に見なければ真の評価につながりません」(山口氏)
●やまぐち・まさひろ/1960年東京都生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、丸紅入社。モルガン・スタンレーなど欧米の金融機関を経て投資会社を設立。「ぐっちーさん」のペンネームでブログやメルマガを中心に活躍中
※週刊ポスト2016年3月11日号