──すると松本さんがきてからは、カルビー社員の平均給与っていうのは……。

松本:偉そうに言う程ではないですが、相当上がったと思いますよ。特に上の方が上がっている。

──上って言うと。

松本:役員クラスとか。

──なぜ下の社員より役員の方を?

松本:上から上げる方がいいんですよ。「偉くなったら、たくさんもらえる」と思ったら、みんな頑張ってやる。だからくやしかったら、偉くなれっていうことですよ。会社に貢献したらいくらでも偉くなれるんだ、偉くなったら給料も増える、だからどんどん偉くなれと。

──ある意味、社員の闘争本能を駆り立てる。

松本:そういう言い方はできるかもしれませんね。偉くなったら、いいことがいっぱいあると。

〈「戦う」ということともう一つ、松本氏のビジネス人生で一貫していることがある。「とにかくあちこち歩く」という現場主義だ。〉

松本:休みの日に一番やっているのは散歩。日曜は3時間歩く。1時間半は散歩、残りの1時間半は現場の定点観測で、スーパー4店、コンビニ6店、毎週同じところでカルビーと他社の商品の売れ具合を見て回る。スーパーはひと月単位、コンビニはもう毎週違います。それを見て回るのがおもしろいんですよね」

──伊藤忠の子会社時代も、自分がセールスする医療機器の具合をたしかめるため、年中手術室にまで入っていた。カルビーでは現場を回ってチェックし、コストの改善につなげていった。現場に行かなければ見えてこないものがあるという。

●まつもと・あきら/1947年、京都府生まれ。1972年、京都大学大学院農学研究科修士課程を修了後、伊藤忠商事に入社。1986年、センチュリーメディカル(株)へ取締役営業本部長として出向。1993年、ジョンソン・エンド・ジョンソン メディカル株式会社(現・ジョンソン・エンド・ジョンソン)に入社。1999年、同社日本法人社長に就任、最高顧問を経て、2009年、カルビー代表取締役会長兼CEOに就任。

※週刊ポスト2016年3月18日号

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