「ただイクメンという言葉を使いたいだけで、まわりに良い父親だったり、良い夫を演出している」「妻と力を合わせて育児や家事をしているなら、当たり前のことすぎてイクメンという言葉をわざわざ使わないはず!」――こんな考えが女性だけでなく、男性にも広がっている。
壮絶な不妊治療の末、3人の子供を授かったダイアモンド☆ユカイ(53才)が「イクメン」に対する自身の思いを語った。まず、自身の子供時代の話だが、ユカイの両親は公務員で、当時では珍しい共働きだった。
「男が働き専業主婦がほとんどだった時代に、皿洗いをする父親を見て『どうした、オヤジ!? 女みたいでダセぇな』と思ってたけど、今は共働きだから、別に女とか男とか関係なしに親父は、皿を洗ってたんだよなあと思う。だからだろうな、特別に育児をする男性を“イクメン”ともてはやすことは、ちょっと違うと思う」
声高にイクメンをアピールするなんて、なんだかダサい。5人目の子供の誕生を控えているつるの剛士(40才)も、自分がイクメンと言われることに違和感がある男性のひとりだ。「きっと近い将来、パパの育児も当たり前のことになって、『は? イクメン? 死語じゃん』って時代が来ると思う」と話している。
実際ユカイの周りのパパたちは、ごく自然に子育てに参加しているようだ。
「30~40代のパパは積極的に育児を楽しんでいます。この前は息子の頼音(らいおん)の参観日に親たちでイス取りゲームをしたら、オレが優勝しちゃって(笑い)。息子は家に帰ってこっそり妻に、『パパが優勝したんだ!』って報告してた。学校行事で、若いママさんたちに交じっても、白い目で見られたり肩身の狭い思いをしたことはないよ」
ユカイは、体外受精で3児の父となった。世間には「自然に反して子供を望まなくてもいい」と考える男性も少なくないことに関して、このような意見を持つ。
「“試験管ベイビー”なんて気持ち悪がられた時代もあったし、5年前に自分の不妊治療体験を綴った『タネナシ。』(講談社刊)を出した直後はメディアに敬遠された。
でも今や卵子凍結の技術も進歩して、体外受精をオープンに語れるようにもなってきた。夫が無精子症である場合、そのことを知らないと、いくら頑張っても妊娠はできない。優秀な女性が仕事で共働きする時代に、悔いの残らない夫婦生活を送るためにも、みんなにも知ってほしいんだ」
イクメンがブームである限り、女性の負担は増すばかり。育児や妻の立場を理解するパパが増え、近い将来、「イクメン」なんて死語となることを期待したい。
※女性セブン2016年3月24日号