オバマ氏個人は、広島訪問に前向きだと伝えられているが、その実現は簡単ではないのだ。そうした中で内々に浮上しているのが、安倍首相の真珠湾訪問とのバーター案だ。自民党幹部が明かす。
「外交は相互主義だ。オバマ大統領が広島を訪問して慰霊碑への献花と原爆資料館を参観する代わりに、日本側は安倍首相がハワイを訪問し、真珠湾攻撃の戦没者が眠るホノルルの国立太平洋記念墓地で献花したうえ、沈没した戦艦の上につくられたアリゾナ記念館を視察することを発表する。セットにすることで米国民を納得させられれば、大統領の広島訪問を実現できるのではないか」
前出の中岡氏も、「かねてから日米首脳の真珠湾と広島の相互訪問が選択肢として議論されてきた。今回も視野に入っている可能性がある」と見る。
先の大戦について70年以上にわたって繰り返し謝罪してきた日本が、今なお「相互主義」を持ち出さなくてはならないことに、多くの人は納得できない思いだろう。ちなみに相互主義というのであれば、天皇・皇后は2009年7月のカナダ訪問の帰路、ハワイに立ち寄ってホノルルの国立太平洋記念墓地に花を供えている。
オバマ氏の核廃絶への誓いの本気度は、5月のサミットで明らかになる。
※週刊ポスト2016年4月29日号