「孝徳氏の報告書(FAX)は真実ではないことをあたかも真実のように記載している。会の幹部職員が孝徳氏と面談したのは事実だが、こちらから『(哲氏と恵子氏が)5億円を移した』といった話をしたことは一切ない」
徳洲会グループの現場幹部たちからはファミリー側の問題は他にもあるとの声もあがった。グループ内のある法人の幹部の証言。
「哲氏たちが『5億円を着服しようとした』という話はグループ内の噂話に過ぎず、もともと現場では問題にもなっていなかった。哲氏らの抱える本当の問題は、グループ内のある法人で、理事会で保留となっていた特養新設の申請を無断で進めたことです。その際に法人の理事長印を勝手に持ち出しており、これは法人の定款に明確に違反する」
恵子氏は特養新設の件については手続きに瑕疵があったことを認めつつ、「すべての法人での役職を外される理由にはならない」と主張した。
FAXを一斉送信した徳田孝徳氏は取材に、「哲氏を擁護するつもりで文書を送ったわけではない。5億円の件は噂として出回っていたので、事実でないと周知すべきと考えただけだ」と回答。それぞれの主張は全くかみ合わない。
徳田虎雄氏が掲げた「生命だけは平等だ」の旗印のもとにまとまっていたグループの亀裂は修復不能なまでに深まっている。
※週刊ポスト2016年4月29日号