アメリカで発売され、話題となっているクライド・プレストウィッツ氏の書『JAPAN RESTORED(日本復興)』では、「2050年の日本は経済成長率が4.5%になる」と予測されている。本当にそんな未来はやってくるのか。
『日本復興』では2050年の日本は、「経済成長率は毎年4.5%を維持」「GDPは世界一のアメリカに迫り、中国の2倍近くになる」と描かれている。
現在の日本は少子化の影響で、労働力が不足し、消費も伸びず成長が見込めないという見方が大方を占める。2015年の名目GDPを見るとアメリカの17兆ドル、中国の11兆ドルに対し、日本は5兆ドルと大きく水をあけられている。
人口減少の中で、世界一に迫るGDPは実現できるのか。
「人口増加がなくても経済成長ができる」実現性を、アジア成長研究所所長の八田達夫氏が説く。
「OECD(経済協力開発機構)加盟諸国の過去40年のデータを見ると、人口増加率と経済成長率には何ら関係がない。私は日本の成長のためには移民の受け入れが必要と考えています。ただしそれは人口増加のためではなく、発展に多様性をもたらす高度人材の積極的な受け入れです」
日本の高度経済成長期のように1%程度の人口増加率でも年10%もの経済成長を遂げてきた例もあり、1人当たりのGDPを増やせば成長は理論上可能である。八田氏はそのためには外国からの高度人材に加え、雇用と教育の在り方を抜本的に変える必要性があると指摘する。
「最も重要なのは労働市場改革です。いったん入社してしまえばよほどのことがない限り一生居座れる日本の終身雇用制は、雇用の流動性を損ねています。日本でベンチャー企業の創業が少ない要因もここにあり、起業・転職しやすい環境や法を整備し流動化を促す必要があります。さらに、大きな予算を投じて、現状では少数の先端科学の学生定員を増やせば、日本を世界的ハブにして世界を主導できるでしょう」(八田氏)