かつて労働力人口が減少したイタリアやスウェーデンでは労働者1人当たりが生み出す付加価値を高めて生産性を向上させた。日本と同じ無資源国家のシンガポールは2000年から2014年まで平均5.67%の成長率を記録してきた。資源に乏しくても高度な人材を世界中から集めて成長した好例であり、日本が学ぶべき点は十分にある。

 加えて日本は科学技術や医療などのテクノロジーで世界をリードできるポテンシャルを持つとされるが、それらは企業の姿勢にもかかってくる。

「多くの日本企業が過去最高益をあげる一方、その多くは内部留保に回され、日本企業全体で300兆円超まで膨らんでいる。仮に年間10兆円投資に回せばそれだけでGDPの2%分に相当する。波及効果を含めれば、投資の大幅増と抜本的な規制緩和で4%台の成長も不可能ではありません。経営者に求められるものは“貯め込むこと”ではなく積極投資する姿勢です」(信州大学経済学部・真壁昭夫教授)

 同書では2050年、中国やロシアなど周辺国が「人口減による国家の死」にあえぐ中、唯一日本は経済的に各国から羨望の眼差しを向けられているという。また、人口も大幅に増えるとされている。高い生産性に、人口増加が加わったならば日本は名実共に経済大国として復活していることだろう。

※SAPIO2016年5月号

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