「部屋の隅にほこりがたまるのと同じで、体の末端である手のひらや足裏には疲労物質がたまりやすいんです」
と言うのはWHOLE TREATボディワーク研究所主宰のセラピスト、手島渚さん。手島さんは体の構造や動きを熟知し、ひとりひとりゆの体の声に寄りそう施術で多くのファンを持つ。
疲労物質は毛細血管やリンパにより運ばれ処理されるが、手のひらや足裏は血液などが滞りやすく、その結果、疲労物質が集中してたまってしまうのだ。
「手のひらや足裏を触ったとき、ゴリゴリっと塊のようなものを感じる場所がありませんか? その正体は“デポジット”という、頑固な疲労物質です。なかなか疲れが抜けない時は、まず、デポジットのあたりをゆっくりもみほぐすだけでも効果はありますよ」(手島さん、以下「」内同)
もみほぐすには、指で押しながら縦と横に動かす“フリクション”という方法がおすすめ。指に力を入れづらい場合は、ゴルフボールを床に置き、手のひらや足裏で軽く押さえながらコロコロ転がすだけでも効果的だ。
さらに、ひざが痛い、肩がこるなど、体に不調がある場合は、その器官とつながっている「反射区」に刺激を与えることで調子を整えられる。
「これはリフレクソロジーといわれる手法で、古代エジプトで行われていた健康法。今では医療機関でもリハビリや術後のケアの1つとして取り入れられています。
特に、足裏からは脊髄を介して内臓や全身の器官へ、手のひらからは脳や目など感覚器官にダイレクトに刺激を与えられるのです」
しかし、なぜ反射区を刺激するだけで痛みが和らいだり、体の不調が緩和されるのか?
「実ははっきりとしたことはまだ究明されていませんが、足裏を刺激すると内臓に信号が送られるので消化機能が高まるほか、鎮痛作用が働き、痛みを感じにくくなるなどといわれています。病気の原因が1つだけではないように、反射区への刺激も、1つの理論では説明が難しいのです」
具体的に手のひらや足裏を押すときは、イタ気持ちいい程度で押すことが重要。あまり強く押しすぎると、筋肉や腱を痛めるだけでなく、体が緊張してこわばってしまうので注意を。なでる程度でも効果はあるので、優しく押して。
「リラックスして体をゆるめるためには、温かい部屋で行いましょう。特にお風呂上がりがおすすめ。疲労物質を押し流すことで睡眠の質も高まります。1か所を押すのは6~12回程度。疲れをためこまないよう、疲労を感じたら、こまめに手のひら&足裏をほぐしましょう」
※女性セブン2016年5月26日号