クリーンエア社も喫煙者のためだけに商品を普及させているわけではない。
そもそも分煙キャビンを考案したスウェーデン人消防士は大の嫌煙家で、〈非喫煙者を守る空間を作りたい〉との思いからシステム開発を進めていったという。また、日本法人の清水社長も非喫煙者。営業やメンテナンスを担当する社員の約7割は非喫煙者だという。
「分煙キャビンは、“分けるべきはたばこの煙であって、人ではない”がコンセプトです。これから東京オリンピックに向け、オフィスだけでなく街中のホテルやレストラン、その他多くのパブリックスペースで分煙対策が求められていくでしょう。
その際、喫煙者と非喫煙者のコミュニケーションまで分断してしまうのではなく、お互いが共存できるような対策を考えるべきだと思います」(清水社長)
いまやクリーンエア社に限らず、最新式の吸排気システムやエアカーテン技術など、分煙環境は日進月歩で進化を遂げている。また、設置にかかるコストも各自治体の補助金制度を利用すれば負担を減らすことができる。オリンピックが行われる東京都では、飲食店や宿泊施設を対象に、経費の8割を補助(300万円を限度)する制度を運用中だ。
一方的に喫煙者を隔離・排除するたばこ対策を取ることは、感情的な対立をエスカレートさせるだけだ。喫煙者・非喫煙者双方の“心の距離”も縮められる分煙社会の到来を願いたい。