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角居勝彦調教師 競走馬がどう育成されていくかを明かす

 6週連続のGIも終わった時期の楽しみといえば、昼休み後に行なわれる新馬戦。数々の名馬を世に送り出した調教師・角居勝彦氏による週刊ポストでの連載「競馬はもっともっと面白い 感性の法則」から、競走馬はどう育成されていくのかについてお届けする。

 * * *
 2014年生まれの、フレッシュな馬が毎週登場するようになりました。古馬同士の妙味ある競馬ももちろん面白いものですが、2歳でデビューする新馬戦のフレッシュ感もまたよいものです。人間年齢でいくと中学生か高校生。運動会のように、まだまだ走りっぷりを見守ってやりたくなります。

 不安と晴れやかさが入り交じるデビュー戦まで、競走馬はどう育成されていくのでしょう。

 馬は春から初夏にかけて生まれ、生後6か月ほどで母馬から離乳(子別れ)します。少しの間寂しい思いをしますがすぐに慣れて、広々とした牧場の集団生活の中で自発的に運動し、基礎体力をつけていくことになります。

 当歳(0歳)から1歳の夏までは大事に育てられます。優しく馬体をブラッシングされ、飼い葉を与えられ、人間から優しい笑顔を向けられる。暴れても「元気がいいね」と誉められ、おとなしいと「お利口だね」と撫でられる。馬にとって楽しい時期です。

 この伸び伸びとした集団行動を、関係者はじっと観察しています。馬は群れを作って走りますが、常に先頭に立つような馬がいいのです。馬には肉食動物の脅威から逃げるための本能が備わっていて、群れで一番速い馬は餌食にならずに済みます。どの馬がリーダーなのか、馬たちは本能的に分かり、先頭についていくことで身を護ろうとします。

 クラブ会員への出資馬募集(1歳)は、ちょうどいまごろから始まりますが、カタログを見ると、放牧地での様子がひとつのセールスポイントになっていますね。

 セレクトセールなどセリでの高額取引が話題になるのもこの時期です。こちらは1歳馬だけでなく、生まれたばかりの当歳馬も上場されます。

 とはいえ、どの馬もこの時点では、競馬場で人を乗せてムチで叩かれながら走るなどとはおそらく夢にも思っていません。関係者の評価も、あくまでも血統や馬体、そして前述のような放牧地での様子がメインになります。

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