東北大学の五十嵐太郎・教授は、「木を使って和風を演出する」という発想自体がナンセンスだと語る。
「椅子は海外由来の文化で、もともと木製です。それで“日本らしさ”を表現するという発想自体が理解できません」
専門家の見解からも、莫大な税金を投入するメリットは感じられない。それなのに、なぜ木製案が出てきたのだろうか。実は、前出の実施本部の議論を主導したのは橋本氏らスポーツ族議員ではなく、自民党農林部会に籍を置く議員たちだった。
「農林族議員は参院選を前に業界団体に何らかの“お土産”を届けたい。建材として屋根部分に大量の木材を用いる隈氏のプランは千載一遇のチャンスだった。これに椅子まで木製にできればいうことはないでしょう」(党関係者)
この解説によれば、隈氏は“林業利権のダシ”に使われた構図といえそうだ。
隈氏の見解を求めたが、残念ながら締切までにコメントはなかった。杜に“寄生”して利権誘導に乗り始めたシロアリたちを一喝してほしかったのだが……。
※週刊ポスト2016年6月24日号