それでは、美術館・博物館は年39回の視察が必要との認識だったのかと改めて問うと「どれも重要な視察です」と答えるのみ。

 あくまで“上司”をかばう姿勢はもはやあっぱれともいえるが、知事がいてもいなくても、行っても行かなくても、職員が政策を進め、事案を遂行させるということか。それなら今までの追及一辺倒も、多少心配は減るけれども。

 一方の都議会は、頑なに「辞めない」といっていた都知事に不信任決議を突きつけることができる唯一の存在で、今回は彼らが伝家の宝刀を抜き、舛添氏は辞任に至った。これまで三代の都知事とその都政について取材してきた東京新聞都政キャップの石川修巳さんがその仕事内容を語る。

「海外出張の予算案などを承認するのも都議会の仕事です。また特別職にはほかに、都知事に任免される副知事や教育長、教育委員などがいますが、権限や責任が重いため就任には都議会の同意が必要です。舛添氏は今議会の開会にあたり、現在の3副知事を4人に増強する案を固めていました」(石川さん)

 権限が大きいゆえ、歴代の都知事の成果もそれなりに大きい。石原氏は東京マラソンの開始や羽田空港の国際化など。猪瀬氏も東京五輪誘致を実現させた。では舛添氏は?

「“東京都長期ビジョン”の策定を行いました。世界一の都市・東京の実現を目指すものです」

 担当者はそう言って胸を張ったが、すでに世界一になった部分を問うと、言葉を継げなかった。ビジョンを語るだけなら誰にもできる。遂行中の事案は何なのか? そう聞くと担当者は、「目指しているということです」と話した。

※女性セブン2016年6月30日号

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