それは2か月半ほどの闘病生活の中で、父がつぶやいた言葉です。父と暮らした時間はたくさんあったのに、家族が本当に絆を感じたのが病室だったことに、私は切なさを感じました。でも、短くてもそんな時を持てたことに、今は感謝しています。
生前、父と親交のある何人かのかたがたから、「お嬢さんの話をすると顔が全然、違ったね」という話を聞きました。
私のことを世界でいちばん愛してくれたのは、お父さんだったのかもしれない…。私はそんな実感を抱いています。結婚の報告ができないのも、父ぐらい私を愛してくれる人が見つからないからかもしれません。月日が経っても、父がいない寂しさは募るばかりです。夢の中に出てくる若くてハンサムな父は優しく私を見つめているだけですが、きっと向こうの世界で、私のことを心配しているだろうな。
父がそうだったように、生き甲斐を持って取り組める仕事に就き、早く「私はもう大丈夫だから」と、夢の中の父に語れるようにならなければ…。私は今、そんな想いを強く抱いています。
【プロフィール】
梨元麻里奈/1980年、東京生まれ。タレント、芸能コメンテーター。1998年にテレビデビューし、バラエティー番組などに出演。2010年11月、亡き父の跡を継いで「オフィス梨元」の代表取締役社長に。芸能を中心にレポートやコラムを幅広く執筆。
※女性セブン2016年6月30日号