「力斗、ごめんな…」。術後も病状は悪化して、親父のそんな思いが伝わってきました。

 2012年4月8日早朝、病室で他界した親父の胸に手を当て、「パパ、ぼくの中に入っておいで。酒も飲めるし、女遊びもやりたい放題だ」と、ぼくは純粋な気持ちでつぶやいた。振り返ると、マジメ一方のぼくが遊びにハメを外すようになったのは、あれからのような気がする。

 千葉の君津の山寺での葬式。道が狭くて霊柩車が上がれず、親父のでかい棺を仲間たちで担ぎ、車まで運びました。それは安岡力也の弔いに相応しい、イタリアンマフィアの映画の一シーンのようでした。

 親父が亡くなっても寂しくないのは、毎日、ニヤッと笑みを浮かべる親父の写真に手を合わせているからでしょうか。今もぼくにとって親父は、色あせることがない親分、ゴッドファーザーです。

 強面の父と違い、人を笑わせるピエロ的な性格のぼくですが、親父は笑って見守ってくれている。「おれ、頑張るよ」と写真に声をかけるぼくの背中を時々、安岡力也が押してくれている気がしています。

【プロフィール】
安岡力斗/1986年、東京生まれ。俳優。堀越高校を卒業後、プロレスの道に進むも、父・力也さんの闘病を機に、2006年に建設会社に就職。その後、保育士などを経て、現在は俳優として活躍中。

※女性セブン2016年6月30日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

水原一平氏はカモにされていたとも(写真/共同通信社)
《胴元にとってカモだった水原一平氏》違法賭博問題、大谷翔平への懸念は「偽証」の罪に問われるケース“最高で5年の連邦刑務所行き”
女性セブン
尊富士
新入幕優勝・尊富士の伊勢ヶ濱部屋に元横綱・白鵬が転籍 照ノ富士との因縁ほか複雑すぎる人間関係トラブルの懸念
週刊ポスト
3大会連続の五輪出場
【闘病を乗り越えてパリ五輪出場決定】池江璃花子、強くなるために決断した“母の支え”との別れ
女性セブン
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
大阪桐蔭野球部・西谷浩一監督(時事通信フォト)
【甲子園歴代最多勝】西谷浩一監督率いる大阪桐蔭野球部「退部者」が極度に少ないワケ
NEWSポストセブン
がんの種類やステージなど詳細は明かされていない(時事通信フォト)
キャサリン妃、がん公表までに時間を要した背景に「3人の子供を悲しませたくない」という葛藤 ダイアナ妃早逝の過去も影響か
女性セブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
大谷翔平に責任論も噴出(写真/USA TODAY Sports/Aflo)
《会見後も止まらぬ米国内の“大谷責任論”》開幕当日に“急襲”したFBIの狙い、次々と記録を塗り替えるアジア人へのやっかみも
女性セブン
創作キャラのアユミを演じたのは、吉柳咲良(右。画像は公式インスタグラムより)
『ブギウギ』最後まで考察合戦 キーマンの“アユミ”のモデルは「美空ひばり」か「江利チエミ」か、複数の人物像がミックスされた理由
女性セブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン