リオ五輪開幕まで50日を切ったタイミングでの“痛い”ニュースだ。女子マラソン日本代表の福士加代子が、右足の故障で6月26日に出場予定だった函館マラソン(ハーフ部門)を欠場した。ワコール陸上部の永山忠幸監督が福士の状態を語る。
「アメリカ合宿から帰国した6月20日にMRI検査などを受け、疲労骨折の疑いという結果が出ました。以前からずっと痛みを訴えていましたが、治療や練習メニューの調整によって現在痛みはありません。レースに出て無理をすると痛みが再発する可能性もあるので、大事を取って出場を見合わせたということです」
五輪直前の故障と聞いてマラソンファンならずとも思い出すのが、野口みずきの北京五輪欠場である。
2大会連続の金メダルが期待された野口は本番レースの2週間前、海外合宿中に左足を故障してしまい、涙を飲んで五輪出場を辞退した。福士にはまだ1か月ほど残されているとはいえ、本番前の大事な調整の機会を失ってしまった。スポーツライターの折山淑美氏は楽観的だ。
「無理をさせずに欠場を決めた永山監督の判断は評価できますし、大騒ぎすることはありません。野口の故障は太腿の肉離れで、何日経っても痛みが引かなかったのに対し、福士は疲労骨折の疑いと、状況が違います。また、当時の野口は調子が良かったせいで、(負荷を掛ける)追い込みをやり過ぎたことが原因でした。
練習とケガは表裏一体ですが、福士はマラソンの練習期間を短くして仕上げてくるスタイルなので、追い込みによって重大な故障を抱える可能性は低い」
永山監督も「心配しないで」と念を押す。
「エントリーできれば本番1か月前には海外のレースで走らせるつもりです。8月14日に笑顔でゴールできるように準備しているので安心してください」
すったもんだの選考の末に手に入れた代表の座が無駄になっては元も子もない。福士のラストスパートが成功することを祈りたい。
※週刊ポスト2016年7月8日号