「十二指腸潰瘍の原因の8割はピロリ菌だというデータもあります。衛生環境の悪い時代に子供だった高齢者ほど感染率が高く、50才以上では2人に1人がピロリ菌に感染しているといわれます。ピロリ菌は一度感染すると除菌するまで胃内で生き続けるため、気づかないうちにピロリ菌が腸内で繁殖し、十二指腸潰瘍になることもあります。ピロリ菌検査を一度は受け、菌がいたら除菌することをおすすめします」
人間ドックにはピロリ菌検査が含まれていないことが多いため、人間ドックでは何も問題がなかった人が、お腹の痛みで受診したら実は十二指腸潰瘍だったということもよくあるそうだ。
さらに大竹さんは「普段のんでいる薬がきっかけで発症することもある」と話す。
「もともと医療用で、近年薬局でも買えるようになった強い痛み止め薬が原因で、十二指腸潰瘍ができる可能性があります。代表的な薬は、非ステロイド系消炎鎮痛薬で、胃の粘膜を傷つけ、胃を保護する働きをする物質をつくる力を低下させるといわれています。例えば整形外科の医師は、腰痛などでも痛み止め薬と胃薬を一緒に処方することが多いですが、実は潰瘍の予防効果がほとんどない胃薬が出されていることがあるのです」
つまり、「胃薬をのんだから大丈夫」と安心しているうちに、知らず知らず胃が荒れているかもしれないのだ。
また、心筋梗塞・脳卒中予防のための、いわゆる“血液サラサラ”の薬も潰瘍を引き起こす可能性がある。
「例えば、心筋梗塞や脳卒中予防の薬をのんでいるところに、たまたま痛み止め薬が追加されたら、今までなんともなかったのに急に潰瘍ができることはよくあります。病院から処方されている薬は治療に必要なので、のんではいけないということではなく、新しい薬をのみだしたときは体調の変化に気をつけるようにしてください」(大竹さん)
※女性セブン2016年7月14日号