沖縄といえば、温暖な気候に、ゴーヤーや海ぶどうなど健康的な食材、それに加えて“なんくるないさ~”の県民性が長生きの秘訣と、思っていた人も多かったのではないか。そしてそんな沖縄へ行けば、老後は幸せに暮らせるはずと移住を夢見ていた人もいるかもしれない。
しかし実際は、長生きはするけれど、介護などが必要な状態で過ごす時間も長い…。なんともやるせない、衝撃のデータが明らかになったわけだ。いったい沖縄に何が起きているのか?
本誌記者が訪れたのは、6月中旬のこと。那覇空港到着後の機内放送で、「降りるとき熱風にお気をつけて~」とアナウンスが流れた。「熱風?」と疑問に思うが、降りてみると納得。空港の中だというのに、もわっと熱風が吹き、東京との気温の違いに驚いた。
梅雨が明けた沖縄は晴天。正午をいくらか過ぎた時間で、気温はゆうに30℃を超えている。まだ6月なのに、東京の真夏より強い日差しが突き刺さって痛い。これが10月まで続くという。午後1時ごろ、お年寄りが集まると評判の那覇市石嶺公民館に到着。利用者に話を聞こうと、通りを見回すが、人影はほとんどない。那覇市石嶺公民館の館長に利用状況を聞いた。
「うちの公民館にはダンスや琉球舞踊、太極拳、カラオケなど63のサークルがあります。利用者の7~8割は65才以上。でも、お年寄りは昼間は外を歩いてないでしょ? 熱中症の危険がありますからね」
確かに、暑い外気と日差しのなか1時間歩けば、高齢者ならずとも意識が遠のく。夕方になって、ようやくいくらか人が増えてきた。沖縄県庁付近を歩いていた会社員・金城丈雄さん(仮名・55才)に話を聞けた。
「暑いから昼間はみんな出歩かないよ。郵便局とか銀行とか用事があれば別だけど。あと、どこに行くにも車だから歩かない。健康寿命を下げているのは戦後生まれのぼくたちだと思うよ。ハンバーガーとかアメリカ型食生活に慣れて、太っている人が多い。店にはLサイズやLLサイズの服が充実していますよ」
1995年に『世界長寿地域宣言』をした沖縄。それゆえ地元住民の「健康」への意識は高く、本誌が話を聞いた人はみな、今回の健康寿命ランキングのことを知っていた。その上で、沖縄の健康寿命がワーストである理由を「アメリカ型の食生活」「歩かないから」と、誰もが異口同音に分析する。みな自覚はあるようだが…。
沖縄県保健医療部健康長寿課健康企画班を訪ねると、対応してくれた主任・伊本剛さんは、こう話した。