「あら、1970年代のお洋服なら、どこかにしまってあったはず」と、探しかけたあなた。それだけは絶対にしてはいけませんよ。同じトレンドが再び巡ってきたといっても、それはあくまで現代風にアレンジされた過去のファッションであって、そっくりそのままではないんです。

 だからたんすの中で10年、20年、眠り続けた過去のお洋服には、もう何の価値もありません。紹興酒じゃないんですから。価値があるとしたら、それは若かりし日の思い出として。

 そもそもご自身の存在が、すでに40年、50年、あるいは60年の歳月を重ねた熟成ものです。お洋服くらいは新しいものを着ましょうよ。

 しかも世はバーゲンの季節です。きれいな色、かわいいアイテムなど、ちょっともったいないかなと感じてしまうくらいトレンディー(死語ですね)で大胆なお買い物をするのが正解です。

 ここでひとつ、皆さまに告白しなければならないことがあります。私を含めたファッション関係者は雑誌などで、「一生着られる定番ものを」などと、さんざん申し上げてきましたが、はっきり言って、そんなお洋服は存在しません。あえて今後もずっと使えるものを挙げるのなら、エルメスのバッグくらい。

 Tシャツ1枚、ブラウス1枚、鉄板と呼ばれたタートルネックのセーターだって、シルエットは変化しています。

 特に夏物は今シーズン限りの流行ものを思い切り楽しむことです。「お出かけ着にとっておきましょ」なんて思わずに、着てはお洗濯、着てはお洗濯を繰り返して、潔く、ひと夏で着倒しましょう。

 オバさん、万歳!

※女性セブン2016年7月21日号

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