コラム

国内金価格 2020年には1g=7000円の可能性も

今後の金投資の戦略は?

 年初から右肩上がりで、6月には1トロイオンス(31.1グラム)=1300ドルを超えて推移している金相場。日本人はどのような投資戦略を持つべきか、金の動向に詳しい豊島逸夫氏が解説する。

 * * *
 かねてより私は「ドル建て金価格は2020年までに1700ドルに達する」という長期見通しを立ててきた。いまもその見立てにまったく変わりはなく、今年はその長期上昇トレンドの1年目と見て間違いないだろう。

 さて、私たち日本人にとって身近なのは円建て金価格である。4月から5月にかけて上昇が目立つドル建ての海外金価格に比べ、円建ての国内金価格はさほど上がっていない。いうまでもなく、その理由は円高にある。円高によって海外ほど国内金価格は上がっていないのである。

 目下のところ、円は安全資産として買われているが、これは一過性のものと見た方がよいだろう。米国の利上げに伴い、日米の金利差が拡大すれば、ドル買い・円売りの動きが高まるのは必至であり、長期的には円安傾向になる、というのが私の見方だ。

 そうなると、2020年に海外金価格が2000ドルに達し、控えめに見ても為替を1ドル=120円とした場合、国内金価格は1グラム当たり7000円を突破してもおかしくないのである。

 だからといって「そこまで上昇が見込めるのなら、円高で安く抑えられているうちにまとめて金に投資しておこう」と考えるのは、あまりにも早計といえる。

 投資戦略を考えるうえで、こんな「教訓」もお伝えしておきたい。

 米国ではジョージ・ソロス氏の右腕と称される伝説のファンドマネージャー、ドラッケンミラー氏が金で大儲けする一方、一時は100トン近くも金を保有した著名なヘッジファンドのポールソンが昨年10~12月期、つまり金が上がる前に耐え切れず売却したことが明らかになっている。

 かつてリーマン・ショックでも負けなかったとされる海千山千のヘッジファンドでさえ、短期売買で勝てない以上、下手な売買はすべきではない。それだけはぜひ頭に入れておいてほしい。

 株にしろ、為替にしろ、そして金にしろ、たとえ長期上昇トレンドが見えても、上げ下げを繰り返しながら水準を切り上げていくものだ。一本調子でいつまでも上がり続ける相場など、どこにもない。

 だからこそ、こと金投資においてはコツコツと「純金積立」をしておいて、長期保有することが鉄則なのだ。日頃はそうしておいて、この先、ある程度の相場観を持てるようになったら、「純金積立」にはまとまった資金で買い増すことができる「スポット購入」という方法もある。何事も焦らないことが、将来の大きな成果につながるはずだ。

※マネーポスト2016年夏号

関連記事

トピックス

司組長が到着した。傘をさすのは竹内照明・弘道会会長だ
「110年の山口組の歴史に汚点を残すのでは…」山口組・司忍組長、竹内照明若頭が狙う“総本部奪還作戦”【警察は「壊滅まで解除はない」と強硬姿勢】
NEWSポストセブン
バスツアーを完遂したイボニー・ブルー(インスタグラムより)
《新入生をターゲットに…》「60人くらいと寝た」金髪美人インフルエンサー(26)、イギリスの大学めぐるバスツアーの海外進出に意欲
NEWSポストセブン
横山剣氏(左)と作曲家・村井邦彦氏のスペシャル対談
《スペシャル対談・横山剣×村井邦彦》「荒井由実との出会い」「名盤『ひこうき雲』で起きた奇跡的な偶然」…現代日本音楽史のVIPが明かす至極のエピソード
週刊ポスト
大谷が購入したハワイの別荘の広告が消えた(共同通信)
【ハワイ別荘・泥沼訴訟に新展開】「大谷翔平があんたを訴えるぞ!と脅しを…」原告女性が「代理人・バレロ氏の横暴」を主張、「真美子さんと愛娘の存在」で変化か
NEWSポストセブン
小林夢果、川崎春花、阿部未悠
トリプルボギー不倫騒動のシード権争いに明暗 シーズン終盤で阿部未悠のみが圏内、川崎春花と小林夢果に残された希望は“一発逆転優勝”
週刊ポスト
ハワイ島の高級住宅開発を巡る訴訟で提訴された大谷翔平(時事通信フォト)
《テレビをつけたら大谷翔平》年間150億円…高騰し続ける大谷のCMスポンサー料、国内外で狙われる「真美子さんCM出演」の現実度
NEWSポストセブン
「第72回日本伝統工芸展京都展」を視察された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月10日、撮影/JMPA)
《京都ではんなりファッション》佳子さま、シンプルなアイボリーのセットアップに華やかさをプラス 和柄のスカーフは室町時代から続く京都の老舗ブランド
NEWSポストセブン
兵庫県宝塚市で親族4人がボーガンで殺傷された事件の公判が神戸地裁で開かれた(右・時事通信)
「弟の死体で引きつけて…」祖母・母・弟をクロスボウで撃ち殺した野津英滉被告(28)、母親の遺体をリビングに引きずった「残忍すぎる理由」【公判詳報】
NEWSポストセブン
焼酎とウイスキーはロックかストレートのみで飲むスタイル
《松本の不動産王として悠々自適》「銃弾5発を浴びて生還」テコンドー協会“最強のボス”金原昇氏が語る壮絶半生と知られざる教育者の素顔
NEWSポストセブン
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(左・時事通信フォト)
《黒縁メガネで笑顔を浮かべ…“ラブホ通い詰め動画”が存在》前橋市長の「釈明会見」に止まぬ困惑と批判の声、市関係者は「動画を見た人は彼女の説明に違和感を持っている」
NEWSポストセブン
バイプレーヤーとして存在感を増している俳優・黒田大輔さん
《⼥⼦レスラー役の⼥優さんを泣かせてしまった…》バイプレーヤー・黒田大輔に出演依頼が絶えない理由、明かした俳優人生で「一番悩んだ役」
NEWSポストセブン
国民スポーツ大会の総合閉会式に出席された佳子さま(10月8日撮影、共同通信社)
《“クッキリ服”に心配の声》佳子さまの“際立ちファッション”をモード誌スタイリストが解説「由緒あるブランドをフレッシュに着こなして」
NEWSポストセブン