大都会の景色を見渡せるゴージャスなバスルーム
まさに“贅の極み”ともいうべきホテルだが、気になるのは今後の稼働率だ。宿泊料金からみればターゲットは富裕層が中心になるだろう。だが、プリンスホテルは次代の顧客基盤を担う30代~50代にもアプローチしていくという。
〈この世代の方々は特に、物事の価値を見出す能力に長け、価値があると判断したものには積極的に投資(=High value)し、先端技術やトレンドに敏感であり(=好感度)、サービスやしつらえにシンプルさも求める特徴を有している〉(プレス資料より)
そして、プリンスギャラリーが最も期待しているのが、訪日外国人によるインバウンド需要だ。米スターウッドホテルと提携したのも日系ホテルのブランドを世界に広める狙いがある。
プリンスホテルの幹部は、「外国人客比率を早々に7割にしたい」と意気込むが、外資系ホテルの日本進出も相次ぐ中、果たして思惑通りに集客できるのだろうか。
「ホテルの成否はいかにリピーターを増やすかにかかっていて、それは外国人でも同じです。どんなに豪華なハコをつくっても、サービスやホスピタリティといった人的なソフト面での特色を打ち出せなければ客数は伸びません。
その点、プリンスホテルはここ数年、人材育成やブランディングを強化して『昔ながらのシティホテル』というイメージを払拭させてきました。今後、日本流のきめ細かなサービスが徹底できれば、世界に通用するホテルグループとして飛躍できるでしょう。プリンスギャラリーはその大事な試金石といえます」(前出・瀧澤氏)
インバウンド需要を見込んだ都心部のホテル戦争は、今後一層激しさを増していく。7月20日には星野リゾートが大手町の一等地に日本旅館を前面に掲げた「星のや東京」をオープンさせるほか、2020年の東京五輪を前に大手町では新たにフォーシーズンズホテルの出店も控えるほか、ホテルオークラ本館の建て替えなど大型ホテルの開業ラッシュが続く。
そんな中、ザ・プリンスギャラリー東京紀尾井町は、旧赤プリの伝統を受け継ぎ、新しい名門ホテルの称号を手に入れることができるか、注目したいところだ。