野菜やには季節がある。出荷が始まる「走り」、食べ頃の「旬」「盛り」、終盤の「名残り」…。この時期、栄養価は最大、価格は最低となる、旬から名残りにかけての“最旬”食材である「さやいんげん」を楽しむコツを、松田美智子さんが紹介します。
さやいんげんはいんげん豆のいわば“幼少期”で、さやごと食べるのが特徴。数多くの種類があるが、日本で流通しているのは、丸さやでやわらかくもシャキッとした歯触りの「どじょういんげん」や、さやが平らで幅広い「モロッコいんげん」が一般的だ。関西地方では、年に3度収穫できることから「さんどまめ」とも呼ばれる。
糖質・脂質・たんぱく質の代謝にかかわるビタミンB群やビタミンC、疲労回復に有効なアスパラギン酸などが含まれ、夏バテ時のさっぱりおかずにぴったり。また、免疫力向上効果のあるβ-カロテンも豊富で、夏風邪の予防にも。
緑色が鮮やかで艶があり、さや先までしっかり身が詰まって、ポキッと折れそうなほど張りのあるものを選ぼう。さやの両端がピンと尖っているのは新鮮な証拠。しなびやすいので、ポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室で保存を。
今どきのさやいんげんは筋を取り除く必要のないものがほとんど。火の通りや歯ざわりが均一化され、また見栄えもよくなるため、生から炒める、あるいはゆでて使う際も長さを揃えて切ることが肝要。
「子供時代を過ごした鎌倉の里では、夏になると、やわらかいさやいんげんがよく食卓にのぼったものでした。夕暮れの台所で、母が形の悪いいんげんを選り分けては、梅干しと削りぶしで煮ていたことを思い出します。干しえびとの炒めものは、昔、台湾でいただいた一皿をアレンジしたもの。夏の宵、ビールがすすみますよ」(松田さん)
◆「いんげんと干しえびの炒めもの」のレシピ
【1】フライパンにごま油大さじ2を熱し、にんにくのみじん切り小さじ1と干しえび(5mm大)大さじ2を加えて中強火で炒める。
【2】天地を落とし、3cm長さに切り揃えたいんげん20本分を加え、ナンプラー大さじ1で調味する。白ワイン大さじ1を入れ、味を見ながら塩・こしょう各適量で仕上げる。
※女性セブン2016年8月4日号