スポーツ

歴史浅い私立高校 出場のたび経営逼迫する「甲子園貧乏」も

甲子園出場で経営を圧迫する例も

 第98回全国高校野球選手権大会(夏の甲子園大会)が8月7日に開幕する。めでたいはずの甲子園出場も、高校側は手放しで喜べない事情がある。甲子園を目指す高校側の出費は親の負担の比ではないからだ。スポーツジャーナリストの田尻賢誉氏がいう。

「2011年センバツ大会に21世紀枠で出場した徳島県立城南高校は、甲子園の2試合で約4000万円を使いました。野球部関連で1754万5224円、応援団関連で1565万2064円、残り約500万円は事務費という内訳でした。

 野球部関連費用のうち、約1000万円は新調したユニフォームやスパイク、ベンチコートなどの用具代が中心。応援団関連費は、メガホンや帽子などで655万1804円。大型バスでの移動費が484万6455円。バスで甲子園に行ける距離なのでこの程度で済んでいますが、遠方の学校だと交通費や宿泊費が、さらに膨大になります」

 日帰り応援可能な関東圏の高校でも、決勝まで進めば1億円超の出費になると言われる。そんな大金をどう調達するのか。田尻氏が解説する。

「2011年センバツに21世紀枠で出場した秋田県立大館鳳鳴高校は、遠方ということもあり、1回戦負けにもかかわらず6000万円の費用がかかりました。ところが同校は、その倍にもなる1億2000万円を寄付で集めることに成功しています。同校は創立100年を超える伝統校でOBが多く、初出場で地元の話題を集めたことが大きかった」

 だが同校は極めて恵まれたケースだという。

「歴史の浅い私立校では寄付してくれるOBの数が少なく、地元財界にもコネがない。出場するたびに学校経営が逼迫する“甲子園貧乏”に陥ることもある」(スポーツ紙記者)

 甲子園は学校にとってもハイリスク・ハイリターンのギャンブルなのである。

※週刊ポスト2016年8月12日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
大ヒット中の映画『4月になれば彼女は』
『四月になれば彼女は』主演の佐藤健が見せた「座長」としての覚悟 スタッフを感動させた「極寒の海でのサプライズ」
NEWSポストセブン
国が認めた初めての“女ヤクザ”西村まこさん
犬の糞を焼きそばパンに…悪魔の子と呼ばれた少女時代 裏社会史上初の女暴力団員が350万円で売りつけた女性の末路【ヤクザ博士インタビュー】
NEWSポストセブン
華々しい復帰を飾った石原さとみ
【俳優活動再開】石原さとみ 大学生から“肌荒れした母親”まで、映画&連ドラ復帰作で見せた“激しい振り幅”
週刊ポスト
中国「抗日作品」多数出演の井上朋子さん
中国「抗日作品」多数出演の日本人女優・井上朋子さん告白 現地の芸能界は「強烈な縁故社会」女優が事務所社長に露骨な誘いも
NEWSポストセブン
死体損壊容疑で逮捕された平山容疑者(インスタグラムより)
【那須焼損2遺体】「アニキに頼まれただけ」容疑者はサッカー部キャプテンまで務めた「仲間思いで頼まれたらやる男」同級生の意外な共通認識
NEWSポストセブン
学歴詐称疑惑が再燃し、苦境に立つ小池百合子・東京都知事(写真左/時事通信フォト)
小池百合子・東京都知事、学歴詐称問題再燃も馬耳東風 国政復帰を念頭に“小池政治塾”2期生を募集し準備に余念なし
週刊ポスト
(左から)中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏による名物座談会
【江本孟紀×中畑清×達川光男 順位予想やり直し座談会】「サトテル、変わってないぞ!」「筒香は巨人に欲しかった」言いたい放題の120分
週刊ポスト
大谷翔平
大谷翔平、ハワイの25億円別荘購入に心配の声多数 “お金がらみ”で繰り返される「水原容疑者の悪しき影響」
NEWSポストセブン
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
女性セブン
ホワイトのロングドレスで初めて明治神宮を参拝された(4月、東京・渋谷区。写真/JMPA)
宮内庁インスタグラムがもたらす愛子さまと悠仁さまの“分断” 「いいね」の数が人気投票化、女性天皇を巡る議論に影響も
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン