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高額先進医療 後に引けぬため本人・家族とも疲弊する例も

先進医療は経済的な負担も大きい

 誰しも「痛みのない死に方」「苦しくない死に方」ができればと願うものだが、死の「痛み」は当人だけのものではない。それを看取る家族にもそれぞれの苦しさがある。

 死に直面する病に罹った時、家族のために少しでも長く生きたい、という思いが湧くのは当然だろう。だが、そうした心情が、皮肉にも愛する家族に不幸をもたらすこともある。

 2年前、肺がんを患った山口克史氏(70・仮名)は、これまで放射線治療や抗がん剤治療などを受けてきた。しかし改善傾向が見られないため、ついに先進医療の重粒子線治療に踏み切った。

 放射線治療の一種だが、がん病巣だけを狙い撃ちできる。しかし、高額な自費診療となる。山口氏が言う。

「治療費は314万円。これは照射回数に関係なく一律で決まっています。妻や娘と“もっと一緒にいたい”という思いから蓄えを取り崩し、今も治療を続けています。

 先進医療の効果は人それぞれで、費用対効果を考えるならやるべきではないと言う人もいました。妻にも娘にも負担をかけていることはわかっています。それでも今は治療をやめることが、死を意味するような気がして止めることができない」

 経済的な負担だけでなく、看病をする家族の精神的、肉体的な負担を考えると、その治療法を続けることが本当に幸せなのかどうかはわからない。医学博士の中原英臣氏が語る。

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