日弁連がまとめた『弁護士白書2015年版』によると、2006年に1200万円だった弁護士の年収は、2014年には600万円と半減。電機メーカーの平均年収730万円より下だ。この荒波に立ち向かう4人の現役弁護士が一堂に会すると、『弁護士白書』にも書かれていない弁護士たちの悲哀の声が噴出した──。
ひまわりを象ったバッジを胸に集まったのは自分で開業せず、他の弁護士の事務所に籍を置く居候弁護士、いわゆる「イソ弁」のA氏(42)、イソ弁として1年間働いたのちに自宅を事務所として開業した「宅弁」のB氏(35)、法律事務所への勤務経験なし、弁護士バッジを手にして即座に独立した「即独弁護士」のC氏(32)、そして昨年から自分の事務所を構え、今年から新卒のイソ弁2人を抱える「ボス弁」のD氏(49)である。
イソ弁A:イソ弁って法律事務所勤務ではあるんですが、社員契約ではなく「業務委託」であることが多い。事務所の名前を借りて仕事をしているだけだから、あくまで「個人事業主」なんです。サラリーマンのような雇用関係はないため、社会保障費は全額自己負担しなければなりません。
宅弁B:事務所から給料をもらえても、それはあくまで「業務委託に対する報酬」ですからね。業務委託契約が切られれば、収入は突然ゼロになる。極論をいえば明日仕事があるかどうかもわからない。つまり、何の保障もないんです。
大手事務所なら1年目から1000万円超えの給料がもらえるらしいのですが、そんなところに入れるのはエリート中のエリート。5度目でようやく司法試験に受かった僕なんて、箸にも棒にもかからなかった。
即独C:それにひきかえ、どこの事務所にも所属せずに、すぐ独立した私なんて、年間で手元に残るのは100万円ちょっと。独り身なので家賃5万円のアパートに住んで節約しているんですが、毎月支払う弁護士会費(*)の負担が大きくて、生活はかなりキツい。
【*東京弁護士会所属の登録5年目の弁護士で月額4万8700円の負担だが、弁護士会によっては年間で100万円以上を支払わなければならないこともある】