味噌さえ絡んでいれば、細かな違いなど気にしないことは「おでん」からもうかがえる。名古屋人は、「おでんに味噌」と「味噌おでん」のどっちも大好きだ。
「関東風のおでんを名古屋では『関東煮』と呼び、名古屋ではこれに味噌をつけて食べます。似て非なるのが赤味噌の出汁で煮込んだ『味噌おでん』ですが、名古屋人はこれも大好き。要は味噌がつけば何でも構わない」(川合氏)
おでんの「色」も名古屋ならではだ。名古屋市在住の50代男性がいう。
「名古屋のおでんは、さつま揚げのことを『はんぺん』と呼びます。茶褐色の味噌をつけるために見栄えが悪くなるのをどうにかしたいのか、名古屋のさつま揚げは鮮やかなピンク色をしています」
とかく味噌好きな名古屋人だが、お雑煮はなぜか味噌を使わずすまし汁だ。
「お雑煮はすまし汁に餅、葉っぱ、かまぼこ、かつお節と超シンプルです。あれだけ味噌が好きな名古屋人が雑煮に味噌を入れないのは、名古屋七不思議のひとつですね」(川合氏)
ちなみに味噌ラーメンもなぜか人気がないという。
※週刊ポスト2016年9月9日号